ディディのレコードレーベル、バッドボーイ所属アーティストだったドーン・リチャードもディディ宅での暴行を目の当たりにしている。ディディは朝食を作るキャシーの手際が悪いと激怒し、卵を調理中だったフライパンでキャシーの頭を殴ろうとしたという。
ディディの暴行は公の場でも行われていた。ドーン・リチャードは、人気R&Bシンガーのアッシャー、ニーヨ、音楽界の大立者であるインタースコープ・レコードの共同創設者ジミー・アイオヴィンらが出席したグループディナーで、ディディがキャシーの腹部を殴ったシーンも見ている。
ホテルの部屋から「ごめんなさい、ごめんなさい!」と叫ぶ声が
暴行はフリークオフの最中でさえ起こった。フリークオフに雇われた男性エスコートの1人は、ホテルでキャシーがディディの指示にすぐさま従わなかったため、ディディがキャシーの髪を掴んで床に引き摺り、ベッドルームに連れ込んだと証言。部屋からキャシーが「ごめんなさい、ごめんなさい!」と叫んでいるのが聞こえ、その後、キャシーが平手打ちされているか、誰かが部屋中を叩き回されているような音が聞こえたと証言した。
キャシーへの暴行を止めようとした友人は自身もディディに殴られ、後に示談金を受け取り、その代償としてキャシーとの友情に終止符を打たざるを得なかった。上司であるディディの暴力を止められなかったアシスタントは罪悪感を抱き、辞職している。男性エスコートはこう語った。
「ディディは力を持っており、たとえ警察に通報しても自分の命が危険に晒される」として、ディディの暴力を止めなかった。
顔をケガさせられた場合、キャシーは傷が癒えるまでホテルの部屋に幽閉された。ただしイベントがあればメイクで傷を隠し、ディディと腕を組んでにこやかに参加した。当時の写真を見返すと、顔の片側を髪で覆うヘアスタイルのキャシーが散見される。
キャシーはディディとの泥沼の関係を断ち切るのに、なぜ10年もの年月が必要だったのだろうか。

