家族からは「オカマの変態やッ!」と言われた

――ギターを本格的に演奏するようになったのは、いつごろでしたか。

ROLLY 中学生のときですね。勉強はできないし、運動もできない。体育の授業では、僕がボールを投げたらキャッチャーの方に飛んでいかないくらいノーコンなのが面白いのか、ピッチャーをずっとやらされるとか、そんなんばっかりでした。

 それでも、ギターだけは弾けるようになった。今まで自分を表現する手段を何も持っていなかったけれど、ギターを持つことによって、一気に世界が広がりましたね。

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――ギターを始めた時は、ご家族はどのような反応でしたか?

ROLLY 「(ROLLYさんが生まれる前に亡くなった)お兄ちゃんはものすごく明るくて、賢くて良い子だったのに、それと比べて一雄はもう変態や。勉強もせず、ギターばかり弾いて、しかも女装癖まであって……オカマの変態やッ!」――ことあるごとにそう言われましたね。

 父親とは毎日怒って喧嘩していたなあ。当時は街の電器店がどんどん廃れていった頃で、実家の店も勢いがなくなっていました。ただ、僕としては「自分の一生はこのまま実家で働いて、女性と巡り合うこともなく、30代でお見合いをして結婚するのだろう」と、ぼんやり考えていました。

実家を継いで、普通の人生を送ることをぼんやり想像していた ©文藝春秋/橋本篤

――その中で、お母さんだけは応援してくれていたとか。

ROLLY 母も僕が小さい時は女装を見て怒っていたけど、音楽をやるようになって「一雄がすごく明るくなった」と応援してくれるようになりました。まあ「音楽なんて数年で辞めるだろう、そうしたら実家の電器店を継いでくれるんだろう」と考えていたのでしょうけどね。

――地元の工業高校に進学したのも、やはり実家の電器店を継ぐ考えがあったからでしょうか。

ROLLY そうですね。でも、そのころからとにかく音楽のことしか頭になくて。ヤマハのコンテストでギタリスト賞をもらうくらいに実力も付いていましたし、何より自信もあった。小学生のころ、殴られたり蹴られたり、犬の糞を鼻に付けられたりしていじめられていた少年が……と考えると我ながら感慨深いですね。