「米、腐ってるよ」発言の裏にあった壮大なストーリー

ROLLY 言い訳をするとね、実はあの発言には、本当はもっと深い、僕なりに考えた架空の物語というか、皮肉があったのです。

「実家の電器店で働きながら、うだつが上がらない青春時代を送っていた寺西一雄、28歳。そんな彼が街で見かけた素敵な奥さんに一目惚れをして、ある日、誰もいない彼女の家に忍び込んだ。

 そして、部屋の中でお腹が減ったので勝手に米を炊いて、ご飯を食べた。でもそのご飯がどうもおいしくなくて、よく見ると腐っていた。

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 そのことを彼女に知らせたくて、後日たまたまスーパーで見かけた奥さんに『お宅の台所の米、腐ってるよ!』と伝えてあげた」

 こういう時事ネタ的な物語が、あの発言の背景にありました。でもあの言葉だけだと、そこまで伝わるわけもないですよね(笑)。

数々の“問題発言”で、爪痕を残した ©文藝春秋/橋本篤

――フジテレビの人からは怒られなかったんですか。

ROLLY ある時、フジテレビのプロデューサーから呼び出されました。怒られるのかと思ったら「1週間の中で、実はROLLYさんのコーナーが一番視聴率が良いんだよ」と言われて、高級な店に連れて行ってもらいました。

 実際、今でも「『いいとも』見てました。ROLLYさんのコーナーが好きでした」って言ってくれる人が多いんですよ。多分、お昼にやっている日常的な番組の中で、ものすごく異質なものを見て、なんともいえない感覚を持った人が、今でも覚えてくれているのだろうと思います。

――当時は、ダウンタウンの番組(『ダウンタウンのごっつええ感じ』)で主題歌も歌っていましたね。

ROLLY 『恋のマジックポーション』と『恋のミラクルサマー』ですね。芸人さんにとって特別な番組だったこともあって、番組で共演した際に声をかけてもらうことも結構あります。ありがたいことに、ダウンタウンの松本人志さんにとってもあの番組が大切な思い出になっているようで、忘年会などのイベントで歌ってくださることもあるようです。音楽人生で、こういう多くの人に愛された曲が1曲でもあることは、本当に幸せだと思いますよ。

「ROLLYじゃなきゃ、もっと売れていた」と言われることも

――そうした多くの人に残る曲を生み出したすかんちは、ROLLYさんにとってどういう存在でしょうか。

ROLLY すかんちは楽しい思い出もある一方、「ボーカルがROLLYじゃなければもっと売れていたね」と言われたり、イロモノ扱いされたりして悔しい思いもたくさんあるバンドです。自分で言うのも何ですが、ギタリストとしても、ロックミュージシャンとしても不当な扱いだったと感じることは今でもありますから。