「イロモノ」と言われながらも活動を続けられた理由
ROLLY ただありがたかったのは、当時のレコード会社にいたディレクターさんが僕たちの音楽性を尊重してくれたこと。僕はレッド・ツェッペリンみたいなハードロックもやりたかったけれど、おニャン子クラブやフィンガー5のような歌謡曲もやりたかった。
普通、売れるには方向性を絞る必要があるんですよ。僕たちもどちらかに絞らないといけないんだろうなと思っていたら、ディレクターさんは「どっちもやって良いんだよ」と言ってくれて。「絶対にあり得ないものを、両方やれるのが君たちだ」という言葉は、嬉しかったなあ。
――イロモノという扱いに戸惑いながらも、NHKの連続テレビ小説や番組に出演するなど、今では誰しもが認める表現者という立ち位置を確立されました。
ROLLY “石の上にも35年”ですよ。もしもデビューして5年で辞めていたら、イロモノで終わっていた。それでも35年以上続けられた。人生、浮き沈みはあったけれど一瞬たりとも自分の信念みたいなものは変わることがなかったですね。
――35年間も音楽活動を続けてこられた原動力は、何でしょう。
ROLLY 小さいときに実感した音楽の魔力、ですかね。
夜になるとどこからともなく聴こえる『ねんねんころりよ』で悲しい気持ちになったのに、テレビから流れる『こんにちは赤ちゃん』を聴くとパッと明るい気持ちになる。その不思議な体験が忘れられず「僕も魔法を使いたいな」と。ミュージカルに出たり、シャンソンを歌ったり、いろんなことをやっても、基本的にはこの信念が根底にあります。
あとは、僕が自分の経験を語ることで、少しでも誰かの役に立てることがあったらなと。 誰にでもね、変われるチャンスっていうのはあると思うんですよ。
「電気ブタナマズ」と呼ばれていじめられていた自分が、今こうやってちゃんと生きてるんですから。僕は「誰しもが自分という物語の主人公だ」と思っていて、それがロックスターの物語という場合もあるし、もっと地道なストーリーかもしれない。誰しもが輝けるんだと、それはこれからも伝えていきたいです。
――これから挑戦してみたいことはありますか？
ROLLY もういろんなことを経験しましたから、何をやれるかわからないというのが正直なところです。でもチャンスをくださるならば、これからもアタックあるのみ。できるかどうかわかんなくても、一生懸命やる。真面目にやっていれば、誰かが見ている。やっぱり適当にやっていると、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』みたいに「うわー」って落ちていくのじゃないかな（笑）。
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