クソデカネックレスをつけて出社してみると…

「ど、どうでしょうか……」

 選んでもらったコーデにクソデカネックレスをつけて、おずおずと試着室から出ると、コーディネーターさんが声を上げる。

「わっ! いいですねぇ!」

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 カーキ×ジャングル柄の組み合わせは、ばっちりマッチしていた。カーキのベストが、ジャングルの中の探検家やハンターを彷彿とさせる。そして、自分の中心で異質な存在感を放つクソデカネックレスは、カーキとジャングルの間で、いい意味で落ち着きを得たように見える。中心のレオの顔は、控えめに、だがしっかりと王者の風格を漂わせている。まさにジャングル大帝。そして私はジャングルを追い詰める炭谷銀仁朗。柄物といえば炭谷銀仁朗。今日からこのコーデを「銀仁朗コーデ」と呼ぶことにする。

銀仁朗コーデ ©パニーニ暮野

 このコーデであれば、球場内は言うまでもなく、試合の行き帰りでも 「これが最先端のオシャレでぇい!」という顔で池袋線やレオライナー、多摩湖線にも乗れるだろう。

 ただ、今回の課題は「クソデカネックレスを普段使いする」ことだ。試合の日ではなく、「普段の日」につけなくては意味がない。そこで 私は会社で銀仁朗コーデにクソデカネックレスをつけることにした。

 いざネックレスをつけてみると、なかなか気づかれない。自分が端の席であるということを考慮しても、このギラギラの金色チェーンが目に入らないはずはない。ということは、銀仁朗コーデといい感じに馴染めているのではないか。見ないふりをされている可能性もゼロではないが、どちらかというと「あっ、オシャレだな」と心の中で思っているのだと思う。

 ただ、ここで一つ難点が出てくる。デスク仕事をするには、220gは重いのである。自然と腰が曲がってしまい、慌てて背筋を伸ばすも、また徐々に腰が曲がっていく。つけ始めて30分経つ頃には首回りと肩甲骨周りが固くなる感覚になり、1時間後には腰回りが固くなる感じがした。グッズ開発担当者によると「軽い素材にこだわった」とのことだが、それは「野球観戦時」の想定であって、おそらくデスク仕事で着けることまでは考えられていない。それでももし着けるのであれば、疲れを感じたらネックレスをいったん外し、ストレッチすることをお勧めする。

 クソデカネックレスに気づいた人達が、「えっ!? なにそれ!?」と聞いてくれた。

「ライオンズの応援グッズです!」と答えると、「へ~、こんなのあるの?面白!おいくらぐらいなの?」とだいたい値段について聞かれた。コーデにはあまり触れられなかった。税込3900円であると答えると、以下のような反応が返ってきた。

「…………ッ!?!?(声にならない声)」
「……さんぜんきゅうひゃくえん……??」
「……ほぅ……」

クソデカネックレスを「普段使い」してみた結果

 今回クソデカネックレスを「普段使い」してみた結論は、以下の通りである。

・コーデを工夫してある程度馴染ませられるが、それ以上にレオと金のチェーンのインパクトが強すぎる。

・「結構軽い」とは言われているが、着けながらデスク仕事をするには重い。

・ネックレスは面白がってもらえるが、値段を言うと戸惑わせてしまう。

 税込3900円。決して安くはない値段だが、クソデカネックレスの狂乱の渦に飛び込むも良し、球場飯をドカ食いするも良し、獅子ビル前のガチャに突っ込むも良し。何ならしゃぶ葉で食べ放題ランチしたって良い。その中で、もしクソデカネックレスを選び、手に入れたなら、「普段使いするならどんなコーデにするか? どんな場面に着けていくか?」と考えてみるのはいかがだろうか。

 徐々に各球団にもクソデカネックレスのブームが波及してきている。近い将来、街中に「クソデカ」をつけた人々が溢れる日が来る……かもしれない。

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