「日本の連盟も、もっと上手に私を使えばいいのに」…
――当時は、飯島さんしか女性のプロボディビルダーはいないのに、結構、適当というか……。
飯島 もっと大切に扱うべきでしょ?(笑) ところが、特に何かをするわけでもなく、環境もアマチュアのときとほとんど変わらない。日本の連盟も、もっと上手に私を使えばいいのに野放しですよ。
――たしかに、当時の飯島さんのお写真を見ると、もっと上手に活用できた気はしますね。
飯島 これは、アメリカで開催された大会の後に撮ったものなんですけど、グラフィックデザイナー時代の仲間のカメラマンやディレクターなどと集まってカレンダーを作りました。これは販売もしていたんですけど、その中の一枚ですね。
――めちゃくちゃカッコいいですね……。女性の体形を生かしながら、見事な逆三角形になっています。
飯島 女性だからこそのカッコいい筋肉を作りたかった。国際大会では、日本人女性ということを前面に出すために、使用する曲も笛や太鼓の要素がある和的な曲を選んでいました。髪型も、黒髪のボブはウケが良く、日本的な雰囲気を演出しながらポーズをとると、会場がワーッと沸く。そうなると、審査員も良い点をつけざるを得ないから、それを期待したりしてね。
スポーツ専門学校でトレーナーを育成する講師に
――写真を見ても、その存在感が分かりますから、テレビ番組などからオファーもあったのではないですか?
飯島 たくさんあったので、当時は結構出演しましたね。実際、テレビに出ると楽しくて。でも、品の良い笑い者にされる。ビキニを着てポージングをすると、「わぁ! すご~い!」みたいな。それ以上の要求をされたら、机をひっくり返してやろうと思ったけど(笑)。だから、テレビに出てお金を稼ごうとは思わなかった。とは言え、収入をどうするかは考えないといけない。そんなときに、スポーツ専門学校の講師として、ジムのトレーナーを目指す人を教えませんかというオファーが来たんですよね。
――誰かに教えたいといった気持ちは、もともとお持ちだったんですか?
飯島 先生になりたいというアイデア自体なかった。座学を含め、自分がきちんと教えられるか不安なところもあったけど、断っている場合じゃない。その学校をきっかけに、最終的には3つの学校を掛け持ちで教えることになりました。1つの学校で3クラスくらい受け持って、1クラス20名ほどいたのかな。クラスでは「トレー二ング実技」「トレーニング理論(座学)」「トレーニングテクニック(座学+実技)」、「栄養」、「飯島ゼミ」などの科目を教えていました。

