金正日の長髪、パーマに在日朝鮮人が度肝を抜かれたワケ
金日成主席の次に最高指導者となった金正日総書記も周囲を驚かせた。金正日氏は1980年の第6回朝鮮労働党大会で初めて公式の場に姿を現した。
まだ30代だった金正日氏の姿に最も度肝を抜かれたのが在日朝鮮人たちだった。朝鮮総連は当時、朝鮮学校の生徒たちの身なりを指導する際、「男性は短髪、刈り上げ」が望ましいとしていた。日本で当時はやっていた長髪、パーマなどを退廃した「黄色文化」だとこき下ろしていた。ところが、金正日氏その人が長髪・パーマ姿だった。
当時を知る在日朝鮮人は「朝鮮学校の生徒たちは猛反発した。本国に見習えと教えられてきたのに、その本国のトップが真逆の格好で登場したからだ」と語る。北朝鮮の理髪店は通常、「望ましい髪型」の絵を何種類か掲示している。金正日氏の登場後、しばらくは「長髪」「パーマ」も「望ましい髪型」に加わった。金正日氏は身長を高く見せるため、厚底の靴を愛用したことでも知られた。
エリートの子どもの結婚相手として選ばれる容姿端麗な女性たち
こうしたトップの姿勢が市民に影響しないわけがない。北朝鮮の人々は「美しければ美しいほど、人生の問題が簡単に解決する」という言葉をよく使い、美容整形に手を染めた。
脱北者の手記や証言によれば、北朝鮮では容姿端麗な女性を万寿台芸術団やピパダ(血の海)歌劇団の俳優として選抜。そのなかから、少なくない数の女性が、党や政府、軍の高官の子どもの結婚相手として選ばれた。金正恩総書記の妻、李雪主氏は銀河水管弦楽団の公演などに参加した歌手だった。金正恩氏が若かりし頃に慕った相手とされる玄松月・党副部長も歌手出身だ。
ウィリアムズ氏は、金正恩氏らロイヤルファミリーが美容整形する可能性について「もちろん可能だ。金正恩氏は間違いなく法を超越している存在だから、法律と関係なく、整形手術を受けられる」と語る。キム・ジュエと呼ばれる金正恩氏の娘も推定12歳。これから思春期を迎え、美容整形に関心を示そうかという年ごろかもしれない。
