3/3ページ目
この記事を1ページ目から読む
一方で、庶民の「理想の結婚相手」とは
一方、「エリートの息子と美しい女性のカップル」は、北朝鮮社会の定番だが、数が少ない。美容整形は盛んだが、それで人生が変えられると本気で考えている人も多くはない。別の脱北者は「美醜にこだわるのは、何でも手に入る幹部たちとその息子だけ」と語る。「庶民は美醜よりも生活力を重視する」(同)。
北朝鮮では近年、市場などで働く女性の収入が家計を大いに助けている。「男尊女卑」の風潮が残り、家事の大半を女性が担う家庭も珍しくない。庶民の北朝鮮男性にとって、性格が良くて働き者の女性こそ、「理想の結婚相手」なのだという。女性は女性で、相手の男性に生活力があるかどうかをまず重視するという。
2000年代後半、北朝鮮でも韓国ドラマ「冬のソナタ」が流行した。日本では主役のチュンサンを演じたペ・ヨンジュンに人気が集中し、「ヨン様ブーム」が起きた。ところが、北朝鮮の女性はペ・ヨンジュンに見向きもしなかったという。ただ、ペ・ヨンジュン演じるチュンサンが身に着けていた眼鏡が密かなブームになったという。
北朝鮮でルッキズムの沼にはまっているのは、エリート層だけなのかもしれない。
