人によっては、女性が社会で「活躍」できる制度が十分に整わないなか、仕事と家庭の両立を必死にこなしてきたかもしれません。

「私が体調が悪いときにも、気遣うどころか夫に強引に求められた」

「普段から会話すらないのにいきなりセックスなんてありえない」

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 そんな長年の不満が積もりに積もった結果、妻が「したくない」という答えを出していることは決して珍しい話ではありません。

「ノー」を突きつけられるのは突然のことですが、彼女にとっては、最終審判のような覚悟と決意を持っていることもあるのです。

写真はイメージ ©アフロ

セックスレス問題解消のカギは「語り直し」にある

 この場合、問題の本質は、性行為そのものではありません。「お願い! 今日だけでいいから、セックスさせてくれ!」と拝み倒した挙げ句、渋々と妻が体を許したところで、夫婦関係が好転するとは言い難いでしょう。

 大切なのは「語り直し」です。なぜセックスが嫌になったのか、どこで2人はすれ違ったのか、お互いの傷ついた心を含めて理解し合う対話が必要になってきます。

 夫婦関係を良好に保つためには、日常生活での配慮が欠かせません。家事の分担を見直してみる、これまで以上に感謝の意を丁寧に伝えてみるのも一案です。1日の終わりに「お疲れさま」「今日もありがとう」と労をねぎらうのも素敵ですね。

 相手の肩を揉んで優しくマッサージができれば、それは立派な「タッチセラピー」です。手を握る、軽くハグをする、肩を揉む――こうしたささいな肌と肌の触れ合いも脳からオキシトシンが分泌されていきます。

 夫婦関係を維持するためには、相手の欠点に「片目をつぶる」「黙認する」「大目に見る」ことも必要です。「結婚前には両目を大きく開いて見よ。結婚してからは片目を閉じよ」とは、イギリスの聖職者トーマス・フラーが残した言葉です。夫婦に限らず、相手のよいところに目を向け、小さな不満は水に流す寛容な姿勢が、成熟した大人には欠かせないものだと思います。