制限を設けることで理解を得る「公認のパートナー」

「とはいえ、やり場のない性欲を持て余してしまう」という思いがあるのも、正直なところだと思います。現実的な対処法としては、ソロプレイ=マスターベーションを充実させることがひとつの選択肢です。パートナーに対しては、「今は自分自身で性欲を処理している」と誠実に伝えてみるのもよいでしょう。

 次の段階として、パートナー参加型のセルフプレイも考えられます。カップル用のグッズを使ったり、挿入を伴わないセックス(口や手だけの愛撫やマスターベーションの見せ合いなど)を楽しんだりする方法です。ただし、これらは必ずパートナーの同意のもとで行うことが必要です。

 それでも解決が難しい場合は、「公認のパートナー」を探すという選択肢もあります。夫婦関係は継続しながらも、セックスは外で行うことをパートナーに公認してもらうわけです。公認のパートナーと会う頻度や経済的な制限を設けることで、パートナーの理解を得られる可能性もあります。

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 これは決して不倫や浮気を推奨するものではなく、「あなたとの心のつながりや生活は大切にしたいが、どうしてもセックスレスのままであるならば、性的な欲求は外で解消したい」という誠実な対話に基づいたものです。

最終的には「パートナーチェンジ」も現実的な選択肢

 いくら対話を重ねても、価値観が大きく異なり歩み寄りが難しい場合は、「パートナーチェンジ」も考えられます。これは「逃げ」ではなく、お互いの尊厳と選択の自由を回復するための「生存戦略」に基づいた再契約だと捉えることができます。

 特に子どもが独立した後は、人生設計を見直す自由度が高まります。性の価値観の相違は離婚原因の上位にランクインしています。性以外の部分で関係性が成り立っていても、性の問題だけで決定的に決裂することがある、これもまた現実です。

 セックスレスの問題を考える上で、「これさえすればもう大丈夫!」という特効薬は残念ながらありません。大切なのはどのように納得感をもって、折り合いをつけるかです。

 2人が合意していれば、セックスに正解も不正解もありません。ひとりひとりが目の前のパートナーと真摯に対話を重ね、折り合いを見つけ、自分なりの「正解」をつくっていくのだと思います。

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