経済学者・成田悠輔さんがゲストと「聞かれちゃいけない話」をする連載。第6回目のゲストは、モデルの冨永愛さんです。

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モデルの「才能」とは?

 成田 人からの視線を気にしちゃうのは、もう物心がついた時から?

 冨永 ありましたね。10代のころは電車に乗ったら大変でしたよ。すごい見られていましたもん。「細っ」「脚長っ」みたいな。それでホットパンツに厚底のウェッジソールを履いて、ベアトップとか着て電車に乗ってくるんだから。それは「なんじゃそりゃ」ってなりますよ。

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冨永愛氏(左)と成田悠輔氏 ©文藝春秋

 成田 見られるために生まれてきたようなものですね。最近はモデル以外に俳優としても人に見られてますよね。大河ドラマの『べらぼう』では大奥の最高権力者(高岳〔たかおか〕)役ですが、ギョッとされる異世界感を役としても突き詰めたような。

 冨永 だから300年後の未来人の役とかのオファーをいただくのでしょうね。

 成田 過去でも未来でも、この世ならざる者感が漂ってます。

 冨永 そういえばこの間、宇宙人役の依頼もいただきました(笑)。

 成田 宇宙人はぴったりですね(笑)。モデル、女優をはじめ、いろんな「見られる」仕事をされて、一番しっくりくるのはなんですか?

 冨永 やっぱりモデルかな。ランウェイにしても、一発勝負で短く終われるのが好きですね。自分が持っているものを最大限に引き出して、撮られる瞬間瞬間で切り取られていく職業としての性格が、自分には合っているんじゃないかな。

 成田 顔や骨の造形は前提として、その先のモデルの「才能」って何だと思われますか。

 冨永 これは、ほとんど生まれ持ったものがすべてですね。でも、その子自体に運がないと難しい。

©文藝春秋

 成田 運。よくそんな怖い業界に入られましたね。

 冨永 (笑)。でも、ほんとにそうなんですよ。

 成田 昔も今もですかね。モデル業界のヤバさは変わってないですか?