圧倒的なコスパの高さもプロに選ばれる理由

 開発には約1年もの時間がかけられた。

「汗をたくさん吸収するほどに冷却効果は高まりますが、乾きが遅くなると、その分快適さが損なわれてしまいます。そのため、保水性と速乾性を同時に高める必要があり、この点が一番苦労しました。また、複数の機能を組み込むことで、それぞれの効果が低下するリスクもあります。この点は加工の工程や順序を最適化することでクリアしました」

 中でも一番高いハードルになったのは価格だったという。

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「580円という価格を維持しながら、これほど多くの機能を実装させるのはワークマンとしても未知の挑戦でした」

 そもそもなぜ、低価格にそこまでこだわるのか? 何から何まで物価上昇の今、高機能Tシャツがちょっとくらい高くてもいいと思うのだが……。

580円という価格は、コストと品質を両立するギリギリのラインだという(写真=ワークマン提供)

「ワークマンが目指しているのは、単なる冷たい服ではなく、現場で働く人々に寄り添う冷感ウェアです。そのため、毎日、気兼ねなく着ることができる価格も機能のひとつだと考えています。このTシャツの開発は、冷感ウェア=高価なウェアという常識を覆すことへの挑戦でもあったんです。580円という価格は、コストと品質を両立するギリギリのラインです」

 低価格を実現できた秘密はワークマンならではの生産体制にある。

「自社での製造管理と大量生産によって製造コストを抑えること。必要な機能だけを優先しつつ、過剰な装飾やブランドコストを削減すること。さらに独自の素材開発や加工技術を社内で行うこと。こうした取り組みによって低価格を実現することができました」