国道を、ラクダの親子が走る

 トルクメニスタンには日本語が話せる人が数人しかいないらしい。そんなに貴重な存在でもパンデミックの間は仕事がなくて欧米の企業で働いていたため、Sさんはキルギスの大学に留学して覚えた日本語をだいぶ忘れてしまったらしい。

 中央アジアの国々ではとっくに観光業が復活しているのに、「コロナ患者ゼロ」を謳うこの国が観光客に国境を開けたのはつい先日(2023年春)のことなのだ。

至るところに銅像がある。首都の豪華なラウンドアバウト(円形交差点)や幾何学的な街燈に驚く

 私たちを乗せた4WDは勢いよく走り始めた。国境のあるタシャウスの街を抜けるとすぐに見渡す限りの荒野となった。国土の85%がカラクム砂漠で地続きとはいえ隣国のウズベキスタン側よりさらに乾いていてワイルドな気がする。

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北部の穴だらけの国道を歩くラクダたち。数日たつと飼い主の元に勝手に戻る

 酷暑のせいか人の姿をほとんど見かけない。代わりにラクダの親子が車と競争するかのように国道を走っている。

次の記事に続く 「地獄」にしては美しすぎる…“中央アジアの北朝鮮”で50年以上も燃え続ける観光名所「地獄の門」の奇怪な景色

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