ビル街の一等地にポツンと…

 名古屋のど真ん中にあった堀川駅なのだから、名古屋駅からも遠くない。歩く……のはさすがにムリがあるが、名古屋駅から地下鉄桜通線に乗ってふたつ目の丸の内駅で下車。

 伏見通を北に向かって歩き、頭上に名古屋高速の高架が横たわる外堀通りを渡ったら、左に曲がって外堀沿いを進んでゆく。

 

 丸の内駅から歩くこと10分ほどで、堀川駅跡だ。

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 官公庁街とオフィス街に挟まれた一角だから、繁華街のように人通りが絶えないような町とは少し違う。それでもクルマ通りが絶えることはなく、周囲を見渡せばビルまたビル。そういう一等地の中の一等地に、堀川駅があったのだ。

 

 しかし、その駅が置かれていたとされる場所は、すっかり何もかもが消え失せている。1976年に廃止されてから半世紀近く経ったのだからムリもなかろうが、そこにあるのはフェンスやチェーンで区切られただだ広い空き地と、小さな公園だけだ。

 
 

 まるで大都会の中にふっと現れたエアポケットのようなその一角。何も知らずに連れてこられたら、ここに駅があったなど誰が想像できようか。

 

 それでも、端っこに小さな説明書きが立っていた。「名鉄瀬戸線終点旧堀川駅」とある。

 堀川駅は名鉄瀬戸線の消えた終着駅だったのだ。