どだい廃線や廃駅というモノは、ほとんど人が暮らしていないような地方のローカル線で発生すると相場が決まっている。
地方では鉄道を使って通勤する人など滅多におらず、事実上通学の学生専用列車と化す。で、卒業すれば地元を出てしまうか、とっとと免許を取得してマイカーを駆るか。そして肝心の人口もどんどん減っているから、ますます駅も列車も閑古鳥。そうして廃線や廃駅が生まれるのである。
だから、裏を返せば誰もが電車で通勤しているような大都市では、廃線・廃駅などは滅多に生まれない。ごく一部の特殊な例を除いては……。
そんな特殊な例のひとつが、かつて名古屋市のど真ん中にあった堀川駅である。
名鉄“幻のターミナル駅”「堀川」には何があったのか?
堀川駅があったのは名古屋市中区三の丸だ。
すぐ南に外堀通りが東西に走り、北には県立図書館や愛知県庁舎、県警本部などの官公庁街。外堀通りを挟んだ南側は「丸の内」と呼ばれる名古屋屈指のオフィス街。
西には堀川という小さな川が南北に流れ、渡った先には四間道という古い町並やアーケードの架かる円頓寺商店街などがある下町だ。
つまり堀川駅は名古屋という230万都市のど真ん中、その心臓部にありながら、ひっそりと地図から消え去った駅なのだ。まるで、幻のターミナル。いったい、どんな駅だったのか。
まずはその跡地を訪れてみることにしよう。



