「車を弄って何になる?」と考えるまでもなく、まるで本能のように車を改造する者たちがいる。何を犠牲にしてでも「オリジナル」を求めてやまない、カスタムカーオーナーたちの素顔とは?

 今回は、初代タントをカスタムする「まさ」さんをご紹介。

貨物船の機関士として働く「まさ」さん。1年の半分は海の上にいるという

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母の車を「こっそりカスタム」から弄りつづけて20年

 このタントはもともと、20年ほど前に母親が新車で買ってきたものなんですよ。それがちょうど、自分が免許を取ったのと同じ時期で。ちょくちょく運転させてもらいつつ、興味本位でこっそり弄っていたんです。

 それまではずっとデコトラが好きで、乗用車のカスタムにはあまり関心がなかったのですが……。なぜかこの車が家に来たとき、「もうちょっとカッコよくしたいな」と思っちゃったんですよね。

純正とは似ても似つかぬ相貌となったタント

 それで、黙って車高調入れたあたりまではよかったんですけど、エアロを組んだところで母から「もうこんなの乗れない!」と言われてしまって。結局そのまま譲り受ける形になり、それからずっと、このタントだけを弄ってきたんです。

発色のよいオレンジが会場の目を引きつける

 これまでに大きな仕様変更もしていますし、板金屋さんに作ってもらったワンオフのパーツも多いですから、もうカスタム総額だと500万円~600万円とかになっちゃいますね。

 やっぱり周りからは「普通車(登録車)に乗ればいいのに」とは言われますけど……。自分の場合はそもそも乗用車に興味がないところからスタートして、成り行きでここまで弄ってきたので、もうわざわざ乗り替える気にはならないですね。

インテリアはブラックをベースにオレンジの差し色を入れる

 あと、軽は規格が限られているぶん、小さな違いがわかりやすいというか。そのなかで、自分なりに差を出していくのが楽しいんですよ。

 もっとイベントにも出したいんですけど、なかなかスケジュールが合わず、今回はようやく5年ぶりくらいに参加できたんです。実は仕事が船乗りで、1年の半分以上は海の上にいるような生活なんですよね。

足元を飾るのは国産メーカー「バラマンディデザイン」のホイール

 この仕事はもう20歳の頃から続けていますが、もともと船が好きだったわけでもなくて。とくにやりたい仕事もなく、たまたま父がずっと船乗りをやっていたので、「まぁある程度勝手もわかるし」と。

 さすがにもう、こういう生活に身体は慣れましたが、やっぱりプライベートの付き合いが難しいところはありますね。一度船に乗ったら、2ヶ月ほど家に帰れないので……。

母のタントを勝手に改造し、それから20年ほど弄りつづけている

 結婚に関しては「それでもいい」と言ってくれる人はいますけど、子育てにどのくらい協力できるんだろう、とか。色々と、将来のことも考えなきゃですね。

次の記事に続く 「世間の感覚からはかけ離れた趣味だとは思います。ただ…」大型スピーカーを積み込んだムーヴに乗るオーナーが明かす周囲の“反応”、周囲への“配慮”

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