首相自身も石破おろしには怒っているという。旧安倍派が活発に動いていることに対し、周囲に「こんなでたらめをやられてたまるか。だれがここまで自民党を駄目にしたんだ。自分のことしか考えていない」と強い憤りを見せていると朝日新聞は伝える(7月26日)。
保守派に媚びを売り、取り込まれてきたのは石破氏では
こうした時系列をみると石破首相は党内で戦っているように思える。極右化への歯止めとして期待されるのもわかる。しかし時系列をさらに遡ると、むしろ保守派に媚びを売り、取り込まれてきたのは石破氏その人ではなかったか。
思い出すのは首相就任直後の野党へのあいさつ回りだ。「石破カラーをちゃんと出して頑張ってください」と声をかけられると、「出したら打たれるでしょ」「出すと国民は喜ぶ。党内は怒る」とあっさり語っていた。自分がトップになっても自民党は変わらないと早々に宣言したも同然だった。
実際に首相になると持論を言わなくなり、自民党らしさを受け継いだ。商品券10万円を配布して、企業団体献金の見直しは結論を先送り。さらには「『違法外国人ゼロ』に向けた取組みを加速化」と掲げた。
※施策の前提となる「ルール」を守らない外国人に関する客観的データは十分とは言えないと報道されていた(6月10日・朝日新聞)。
さらに参政党の「外国人対策」がウケているとなったら参院選が始まると外国人政策に関する政府の新組織発足を表明した。これについても「外国人の増加と治安の悪化に相関関係があることを示す明確なデータは見当たらないのが実情だ」(7月16日・信濃毎日新聞)と指摘されている。
石破氏なら自民党の極右化を止められるというが、やってきたことを並べると石破氏も立派な「一員」にみえる。参院選で杉田水脈氏の公認をしたのも石破政権だ。