もう一人、『石破茂の「頭の中」』という著作があるジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いてみた。鈴木氏は朝日新聞の一報が出たあとの先週土曜夜に首相本人に取材していた。「8月15日かどうかは別にして必ず出したい」と本人は言っていたという。これが最新の石破茂の「頭の中」らしい。こうしてみると「談話」なのか「メッセージ文書」なのか、ただの「コメント」なのか、曖昧だったことも情報が錯綜する要因となったように思える。要はどんな形であれ「見解」を出したいようだ。

「この10か月、石破氏はほぼ何もしなかった」

 自民党総裁になった直後、石破氏がこれから戦うのは過去の自分だろうと思った。今までの言動が問われるからだ。ある意味「過去が殺しに来る」のだ。するとこの10か月、石破氏はほぼ何もしなかった。厳しいことを言うなら理想はあるが実行力や胆力は無い人に見えた。

 そこで「#石破やめるな」を叫んでいる方々に提案したいのだ。政策転換(持論遂行)も条件に付けたらどうだろう? 今の石破氏は単なる自民党内の権力闘争をやっているようにしか見えないからだ。もし世間を巻き込みたいなら持論を展開するべきではないか。裏金問題の徹底解明や、選択的夫婦別姓制度をやっぱりやりたいんだ!と言えばいい。一般世間(無党派の人など)には今よりずっと響くのではないか? そうした条件を本人に突きつければ「石破やめるな」もさらに広がりが出るのではないか。

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 ただ、そこまでの器はやはり石破さんにはなかった、誰が自民党総裁になっても同じ、というオチも浮かぶのだが。

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