多額の借金を背負ったきっかけは……
――過去、多額の借金を抱えていたそうですね。
岩切 独立する前に勤めていた外資系生命保険会社が、フルコミッション制(=報酬が完全に売上や契約件数などの成果に基づいて支払われる給与体系)だったので、実質的に個人事業主のような扱いでした。
周りからは個人事業主になると、クレジットカードも作りにくくなるし、ローンも借りにくいと聞いていたので、今のうちにやっておこうと思い、入社前にクレジットカードを作ったのがよくなかったのかもしれません。豪快な社風だったこともあって、自分も金遣いが荒くなっていきました。夕飯は毎日、行きつけのイタリアンで「お任せ」を注文したり……。
――総額いくらの借金を?
岩切 一番借金が多かったのは28歳頃で、奨学金も入れてトータル500万円くらいです。リボ払いで100万円、消費者金融から200万円、知人から100万円です。支出は主に、食費と活動経費、あとはぜいたく品ですね。
お金の使い方が分からないのと、会社の「高いものを買うのがかっこいい」みたいなノリに乗せられて、50万円のベッドや数十万円の腕時計を借金しながらポンポン買っていました。
――外資系生命保険と聞くと収入も多いような気もしますが、それほどの借金があったんですね。
岩切 1年目は年収700万~800万円で、3年目以降は1000万円前後の年収があったのですが、入ってくる金額も出ていく金額も大きく、書類やお金の管理が苦手で収支が分からなくなっていたのも良くなかったと思います。
現在は親への仕送りも
――借金を完済したのは何歳の時ですか?
岩切 全額返済したのは、31歳のときです。そこから借金は1円もしていません。借金があるときは、いつもソワソワするんですよ。その感覚を二度と味わいたくなくて「お金を使うのが楽しい」という気持ちを、「お金を貯める方が楽しい」と切り替えるようになりました。親に仕送りできるようにもなって、そういう喜びも感じています。
発達障害当事者・家族から寄せられる悩みとは
――FPとして独立したのはいつですか?
岩切 2020年5月、34歳のときです。「発達障害当事者による発達障害専門のお金の相談窓口」として、合同会社ひなたを設立しました。発達障害と診断されてから、入れる保険が限られてしまった経験などを生かして他の当事者の役に立ちたいと思って。
主に、ライフプランを立てたり、保険や住宅ローンの相談に乗ったりしています。最初は保険の相談だけを受け付けていたのですが、かつての自分みたいな派手なお金の使い方をやめたいけどやめられない、そんな人も多くて徐々に活動を広げています。障害を持ったお子さんの資産管理など、保護者からの相談に乗ることもありますよ。
――発達障害当事者や家族からの相談で多いのは、どんな内容なのでしょう。

