「かつての自分みたいな、派手なお金の使い方をやめたい人をサポートしたい」
ADHD(注意欠如・多動症)の特性もあり、過去にお金遣いの荒さが災いして多額の借金を背負ったという岩切健一郎さん。現在は発達障害者に特化したFP(ファイナンシャルプランナー)として活動している。
ADHDの影響でお金や書類の管理が苦手な岩切さんが、過去に重ねてきた失敗や借金のエピソード、そして発達障害者たちと向き合う中で浮かんできた当事者たちの苦悩について聞いた。(全2回の2回目/最初から読む)
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――岩切さんは29歳の時にADHDだという診断を受けています。ADHDならではの苦労にはどんなことがありましたか?
岩切健一郎さん(以下、岩切) お金や書類の管理がとにかく苦手でした。
まだADHDと診断される前ですが、奨学金の支払いの催促の電話に対応できずに裁判所から原色の派手でカラフルな封筒が送られてきたこともありましたね。裁判所に呼び出されて「毎月、これだけは返済する」という念書を書かされました。
住民税を滞納して差し押さえにあったこともあります。このときは生命保険が差し押さえにあい、解約できなくなりました。自動車保険の更新を忘れたまま事故を起こしてしまい、数百万円の弁償金を支払ったこともあります。ADHDを言い訳にしたくはないですが、家賃の延滞も毎月のようにしていました。
