生まれつき左顔面の骨が成長しない「左顔面骨形成不全症」のあやかさん。病気の影響で左目の視力はほとんどなく、左耳も聞こえにくい。数十回の手術を繰り返す中、ギャルに憧れていた彼女は、自作の“おしゃれ眼帯”を身につけることで自分らしいファッションを楽しむ術を見つけ出した。
「顔の左半分の骨が成長しない病気です。骨が成長しないと同時に、顔の左側の脂肪も最初はなかったみたいで」とあやかさんは自身の症状を説明する。左目はほとんど見えず、左耳も聞こえづらい状態だが、幼少期は田舎の小さなコミュニティで育ったこともあり、「周りはみんな顔見知りだったから、『あやかちゃんはこういう子』という感じで、普通に受け入れてくれてた」と振り返る。
「骨を伸ばす手術は、毎日毎日スパナで0.25mmずつ伸ばしていく」壮絶な治療体験
あやかさんの治療は中学2年生で医師と出会ってから始まった。「中3のときにはじめて手術をしたんですけど、それが本当にしんどくて、病みましたね」と語る。
その手術の内容は想像を絶するものだった。「簡単に言うと、成長していない左顔面の骨を伸ばして前に出す手術」で、実際の処置は「まず、手術で両頬を繋ぐものと、左側の顎に沿うかたちでそれぞれ棒状の金具を顔に挿して。で、術後に、その棒に付いているボルトを毎日毎日、スパナ風の工具で1日0.25mmずつ伸ばしてく」というものだった。
さらに「手術そのものより、術前に上顎と下顎を固定しなきゃいけないってことで、歯茎に何ヶ所も針金ぶっ刺して口を縛る処置があったんですけど、それが本当に痛くて」と、1ヶ月半もの間、口を閉じたままで食事も会話もできない状態が最もつらかったと語る。
その後も脂肪移植などの手術を受け、「太ももの裏とお尻から脂肪と神経を取って顔に移植したんですけど、脂肪を取った太ももの方があざだらけになって、痛すぎて座れないし、しゃがめなかった」と苦労を振り返る。
こうした困難な治療生活の中でも、あやかさんはギャルメイクへの憧れを持ち続けていた。ある時の手術で左目にガーゼを貼ったことがきっかけで、「あ、このまま片目だけ眼帯をしてれば、左右のバランスも気にせず思いっきりギャルメイクできるかも」と思いついた。
母親の「あんたファッション好きだし、そうやって眼帯毎日貼るんだったら、今のコーデと同じ感じの眼帯を作ったら?」というアドバイスを受け、12年前から自作の眼帯を作り始めた。レースやビジューが付いたおしゃれな眼帯は、彼女のトレードマークとなった。
「ゆくゆくはブランドを立ち上げて、眼帯だけじゃなく、医療にかかわるグッズでファッション性の高いものをいっぱい作って発信していけたらな」と、あやかさんは前向きな夢を語る。
「病気があっても、自分の好きなようにやろうよ」という姿勢で生きるあやかさん。「私は背中に金属が入っているから物理的にでんぐり返しはできないけど、それ以外にもできることはたくさんあるし、それを自ら諦めるような生き方はしたくない」という彼女の言葉には、どんな状況でも自分らしく生きることの大切さが込められている。
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