また、2015年8月、秋篠宮ご夫妻は、佳子さまと悠仁さまを連れて、東京都千代田区にある昭和館を訪れている。昭和館は、国民が経験した戦争の記憶を継承し、その時代の国民生活に関連した歴史的な資料や情報を収集、保存、展示し、その労苦を次の世代に伝えようという国立の施設である。当時20歳の佳子さまと8歳の悠仁さまは、昭和10年代の小学生の教科書や成績表を熱心に見学していたという。
昭和の初めは、戦争の時代だった。1931年9月18日に満州事変が起きたとき、昭和天皇は今の佳子さまと同じ、30歳の若さだった。このことにまず、驚かされる。
先の大戦に敗れた1945年8月15日、昭和天皇は44歳で、現在59歳の秋篠宮さまよりも15歳も年少である。30代から40代半ばまでの長い戦時下を、昭和天皇は重く、苦しい日々を過ごしてきたことになる。こうした苦い体験が、息子の上皇さま、そして孫の秋篠宮さまやそのご家族たちに引き継がれている。
戦争について悠仁さまが語ったこと
昨年9月6日、悠仁さまは18歳となり、成年皇族となった。今年3月3日の記者会見で記者から「今年は先の大戦から80年の節目です。戦後生まれの人が大半を占める今の時代に悠仁さまは戦争の歴史とどう向き合われてきたでしょうか」と尋ねられた悠仁さまは、次のように答えている。
「私は幼少の頃から戦争に関する資料館を訪れたり、沖縄、長崎、広島といった地を訪問したりする機会がありました。その中で戦争について、詳しく学んだり戦争を経験された方の話を伺ったりする中で、戦争によって多くの方々が命を失い、またつらく苦しい思いをされたことは言葉で言い表すことができないほど痛ましいものであると考えました」
さらに、今年2月に舞鶴引揚記念館を訪問された際のエピソードを挙げながら、「引き揚げのお出迎えの経験者の方や学生語り部の方からお話を伺う機会がありました。その中で当時の人々の思い、そして当時の状況をしっかりと深く受け止め次の世代に語り継いでいくことの重要性を感じました」と語り、こう続けた。
「その上で一人一人がお互いの立場を理解し合い、学びを深めて平和の実現に向けて努めていくことが大切であると思いました。これからも平和について実際に書籍を読んだり、その場所を訪れたりすることを通して考えていきたいと思っております」
秋篠宮さまはかつて「昭和天皇がどのような気持ちでマイクの前に立たれ、もしくは終戦を決めるときにどのような気持ちで話をしたのか、そのことに思いを馳せていました」と語っている*。
*2015年、50歳の誕生日を迎えるにあたっての会見にて
戦後、昭和天皇は平和な日本や世界を望んでやまなかった。その気持ちもまた、孫やひ孫たちへ、大切に受け継がれている。
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。






