また、中国と組んで、日本や韓国、台湾を切り捨てる可能性もゼロではない。すべては中国とのディール次第だ。メキシコやカナダとの緊張関係にあり、北米は不安定になるだろう。中東では、イスラエルを正当化し、ヒズボラやハマスなどのイスラム組織はもちろん、イランとの直接対決も辞さない。ロシアにしても、中東にしても、トランプ氏が化石燃料推進派なので、歓迎するところだろう。

大統領就任100日間のハネムーン期間が4月29日に終わり、6月にG7サミットがカナダのカナナスキスで開催された。トランプ氏は中東情勢への対応のため、初日のみ参加して、帰国したが、ここまででトランプ氏の方向性が見えてきたと言える。

イーロン・マスクとの決別は吉か凶か

大統領選でトランプ氏当選に多大な貢献をしたイーロン・マスク氏と、トランプ氏の蜜月関係は半年で終わり、両者は袂を分かつことになった。

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私もそうだが、この2人の決別を予測していた識者は多かった。マスク氏の存在はトランプ氏にとって、獅子身中の虫であったのである。仲違いして政権を去れば、マスク氏は何をするかわからないと言われていた。何しろ、マスク氏は今までつきあってきたすべての人々を敵に回している。彼とうまくやれる人などいないからである。

実際、政権から去った7月、マスク氏は新党「アメリカ党」を結成し、来年2026年の中間選挙を見据えて、第三極の形成を目指すと言い出した。これに対し、トランプ氏はマスク氏の国外追放をほのめかすなど、早くも両者の間で激しい応酬が繰り広げられている。

また、トランプ氏はディールメーカーなので、ウクライナ、中国、メキシコ、カナダ、イスラエルなどに対して、どのようなメッセージを発信していくのかによって、プラスの影響を受ける国とマイナスの影響を受ける国または市場が変わってくるだろう。

日本は“失われた35年”からの脱却を目指せ

図表2は、日本の課題を「政府」「企業」「ビジネスパーソン・生活者」別にまとめたものだ。