数字で運がよくなるわけでもなく…
「私が小学生の頃に母が占いにハマり、とくに風水の方角を気にするようになったんです。『家のこの箇所にはこういうモノを置くといい』みたいな話をちょこちょこ実践していて、玄関に小さいシーサーや龍の置物が少しずつ増えていったのを覚えています。
数字はそこまで気にしている印象はなかったのですが、私が大学生の頃、母方の祖父が詐欺の被害に遭ってから、なぜか母の情緒がちょっとおかしくなって。胡散臭い占いの本がどんどん増えていったんですよね。
とくに夢中になっていたのが、吉数とか凶数とかの数字に関する占いです。携帯の番号から何から、とにかくよくない数字を避けるようになりました。どうやら父の携帯番号が悪い数字だったみたいで、変えさせようと躍起になり、しばらく家の中が険悪でしたね。
なんでも下4ケタが重要という話らしく、車のナンバーなんかもまさに気になる数字なんでしょうね。自分でナンバーを変更する方法を調べて、いつの間にか実家にある2台とも同じナンバーになっていました。
でも当然、数字で運がよくなるわけでもなく、ナンバーを変えてから父は追突事故に遭っていますし、なんだかなって。むしろ母の占い関係の出費が増えた分、暮らし向きは悪くなっているんじゃないかと思いますね」
占いであれスピリチュアルであれ、偶然的な事象のなかに「自分だけの真実」を読み取ってしまうのは人間の性なのかもしれない。
もちろん本人だけが信じている分にはまったく問題ないのだが、周囲を巻き込みはじめてしまうと、なかなか厄介な事態にも発展することがありそうだ。