「心身ともに限界でベッドから出るのも辛い状態で…」実感した開示請求のハードルの高さ
――今回の件について今、思うところはありますか。
鹿乃 万博へ行って、noteで記事を書くまでは良かったんですけど、私には言葉足らずになりやすい点、そもそも人と違う価値観を持っている部分は多いと思うので、それを考慮したら、果敢に批判をする人と対話をするべきではなかったのかもしれないとは思います。
対話そのものは悪くないし、私は人を傷つける言葉を向けたわけじゃないんですが、やった結果、自分に悪い評価がついてしまったので。
私に対して「死ね」というような直接的な誹謗中傷は全体の中では少ない方なんです。開示請求が一般化したからか、侮辱罪などへの抵触回避を意識して直接的な言葉を使わずに人の心を削ろうとする手口が多いです。
SNSでこれだけ言葉があふれる世の中になった中で、必ずしも「死ね」であったりという直接的な暴言だけが人を傷つけたり、死に追いやる訳ではないから。人の心を蝕む方に対しては、警察や医療機関がスムーズに介入できるよう、法律が変わってほしいと思います。
また、多くの方が「弁護士や警察に相談しろ」とアドバイスしてくださいましたが、ただでさえ心身ともに限界でベッドから出るのも辛い状態で、仕事もしながら自分への誹謗中傷を見返し、開示請求できる可能性のあるものをピックアップする作業には耐え難い苦痛があります。自らの手で、再度自分の心をえぐるのですから。
法改正で以前よりは多少開示請求が楽になったと聞きますが、やはり数か月はかかってしまう。まだまだハードルが高いように感じます。
作品や文化を守るために自分の寿命を使いたい
――それでもSNSで発信を続ける理由というのは。
鹿乃 そもそもコスプレにかかわらず、作品や文化を守るために自分の寿命を使いたいという思いが数年前からあって、そのためのフィールドであったり人であったりを探していたんです。
特にここ半年は二次創作のホワイトな部分を広げたり、コスプレ界隈の暗黙のルールを明文化するなど、新規参入者も安心して活動できる環境を作る方法があるんじゃないかなといろんな人に話を聞いていました。
だから、今回の万博の件で心の半分はすごく死んでいるんですけど、一方で目標のためにすごく前進する機会にもなっています。
――コスプレ自体はまだ続けていきますか。
鹿乃 酷いDMも届くんですけど、応援のDMも山ほど届くんです。どうしても100の応援よりも1の批判の方が心に焼きついてしまうところはあるんですけど、わざわざ私にDMをくれた人の気持ちをないがしろにすることにもなっちゃうので。
今回のこの最中でもニコニコ超会議で列に並んで撮ってくれたカメラマンさんや、遠くから手を振ってくれるレイヤーさんもいて、やっぱりすごく嬉しかったんです。だから、ここから1か月くらいの動きを見て前向きに、慎重に考えたいと思います。表現したいマルシルも、まだまだたくさんいますからね。
写真提供=鹿乃つのさん
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