「わずか2両」の編成に大量の乗客が殺到

 貝塚線が混み合う理由は、西鉄や地下鉄への乗り継ぎ需要だ。沿線のうち、多々良川を挟んだ東区名島・和白などは「貝塚線で数分移動すれば地下鉄に乗り継げるエリア」としてマンション街になりつつあり「ほぼローカル線」仕様である貝塚線の2両編成ではまかなえないほどの乗客が殺到。その結果、名島~貝塚(都心側の終端1区間)が異常に混み合うようになった。

 それなら、貝塚線をそのまま地下鉄に乗り入れれば良くないか? と思いがちだが、福岡市地下鉄の箱崎線は6両編成で850人、西鉄貝塚線は2両編成・250人と輸送能力の差がありすぎる。福岡市の試算では「工事など初期投資が約155億円、収支は年間で約2億6000万円の赤字」という結果も出ており、当面は、今の状況で行くしかなさそうだ。

 せめて貝塚線が3両、4両に対応していればいいのだが、ホームが対応しておらず、完全に手詰まり。乗客の分散は、2027年に開業を予定するJR鹿児島本線の貝塚新駅(仮)を待つしかなさそうだ。

ADVERTISEMENT

2位と3位は「モノレール」

 2位と3位はともに関東、かついずれもモノレールの路線がランクインした。

2位:湘南モノレール(計測区間:富士見町~大船)
混雑率:153%(2023年:139% 2020年:114% 2019年:157%)

 

3位:千葉都市モノレール(計測区間:千葉公園~千葉)
混雑率:143%(2023年:151% 2020年:107% 2019年:126%)

 2路線の共通点は「サフェージュ式モノレール」(懸垂式・吊り下げタイプ)であること。東京モノレール・多摩都市モノレールなどの源流となった「アルヴェーグ式モノレール」(跨座式・またぐタイプ)と違って騒音が少なく快適ではあるが、車両を大型化できず、どちらも2両編成だと150~200人程度で大量に輸送できない。

2位は湘南モノレール(筆者撮影)

 とはいえ乗客が増えていることは、企業目線では喜ばしい。湘南モノレールであれば、2015年に、みちのりホールディングスが買収して以降、湘南江の島駅のリニューアルや車両更新、バリアフリー化などで地道に利用者を獲得している。みちのりグループ傘下入り後の経営努力による成果が出ている。