国土交通省が例年発表している「混雑率調査」。JR路線や地下鉄・私鉄路線の混雑率(ピーク時の1時間で、輸送人員÷輸送力で算出した数値)が明らかになっている。
目安としては「混雑率100%」が「座席につくか、座席前の吊革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる」状態。「混雑率150%」は「肩が触れ合わない程度」(2023年度に表現が改定されるまでは「広げて楽に新聞を読める」くらい)だ。
今回は2024年度の調査から「民鉄・モノレール」のランキングを見ていく。(全3回の3回目/JR編を読む/地下鉄・公営・新交通システム編を読む)
混雑率1位の路線は「東京」でも「大阪」でもない
大手民鉄の混雑度について「首都圏を拠点にする路線がさぞかし混み合っているのだろう」と思いきや、実態はやや異なる。1位は何と、福岡を走る西日本鉄道の貝塚線だ。
1位:西日本鉄道・貝塚線(計測区間:名島~貝塚)
混雑率:164%(2023年:158% 2020年:129% 2019年:158%)
福岡県を走る貝塚線は、福岡市内の鉄道路線としては珍しく、天神エリアにも博多エリアにも乗り入れていない。にもかかわらず、大手私鉄の中でトップの混雑率を記録した。
1924(大正13)年に「博多湾鉄道汽船・宮地嶽線」として開業した頃には、都心近くの「新博多駅」(のちの西鉄博多駅。現在の千鳥橋交差点近く)まで乗り入れていたものの、西鉄博多駅~貝塚駅を廃止ののちに、貝塚駅で福岡市地下鉄・箱崎線に乗り継ぐかたちに変更。
さらに2007年には東側の末端部区間(西鉄新宮駅~宮地岳~津屋崎駅)が廃止、「貝塚線」に名称変更……という複雑な経緯をたどっている。

