白井 高校は工業系だったのですが、結局1年で辞めて戻ることになりました。実家から通える私立高校の普通科に編入して、心理学を勉強できる大学を目指すことにしました。
――家族に障害者がいると、カウンセラーのような医療や福祉系の仕事につく人も多いですよね。
白井 僕の場合は逆で、中学の頃から「絶対に医療や福祉には進みたくない」と思っていました。周囲に「家族に障害者がいるから医療や福祉に興味あるよね?」と決めつけられる感じが嫌だったんです。
むしろ自分自身メンタルの不調が続いていたので、人の悩みに関連した学問に関心をもちました。当時心理学がブームだったのもあると思います。
「うちの家族は絶対にそうならないな」
――大学からは一人暮らしを?
白井 東京の大学に進学し、一人暮らしを始めました。心理学で大学院までいったんですが、研究者として生活するのは大変なので、研究の過程でプログラミングが少しできるようになったのを活かしてIT企業に就職してシステムエンジニアとして働きはじめました。
――経済的にも完全に独立して、家族のことを考える頻度は減りましたか?
白井 そのはずだったのですが、20代後半になると周りが結婚しだして、何度か結婚式に参列したんですよ。そうしたら、花嫁が両親への手紙を読んで泣いたり、家族同士で抱き合っているのを見て、「うちの家族は絶対にそうならないな」と不思議な感覚になっていました。「もしかして自分の家は変なのか?」と気づいたのはこの頃です。
それで、29歳の時に両親と絶縁しました。
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