最初は恋愛感情もなかったが、出会って10ヶ月で結婚

――ジェームスさんが鶴本さんと初めて会った時の印象は?

鶴本 (鶴本さんがジェームスさんの通訳をする)「職場にセキュリティとして来てて、彼女はそこの上司って感じで、特にその時は恋愛感情もなかった」って言ってます。

 そもそも、彼はその時マサイ村から初めて出てきたばかりで、外国人にも慣れてなかったですし、日本人と喋るのも私が初めてだったみたいです。

ADVERTISEMENT

――そこから1年たたないうちに結婚を決めたそうですが、どのようにして恋愛に発展していったのでしょうか。

鶴本 結婚したのは出会って10ヶ月ですね。最初は怖いってイメージだったんですけど、彼がその次の日ぐらいに、4本の角が立ってるような奇抜な髪形で職場に来たんですね。

 しかも職場の人とも楽しそうに喋っていて、「ジャンプできるの?」みたいな会話から始まり、Google翻訳を使ってコミュニケーションをとるようになったんです。そうして仲良くなっていった後、彼の方から気持ちを伝えてくれました。

年齢より「世代」を重視する文化

――ジェームスさんは鶴本さんのどんなところに惹かれた?

鶴本 「齢も近くて気も合うし、見た目もかわいいけど、中身を重視して好きになった」って言ってます。自分で通訳するのが恥ずかしいですけど(笑)。

――お二人は同年代なんですね。

鶴本 私が27歳で、彼は25歳です。最初は同い年って聞いてたんですけど、本人も自分の年齢がよく分かってなかったみたいで。

 

――ジェームスさんは自分の齢を把握していなかった?

鶴本 マサイ族は「世代」を大事にする部族で、男性の場合は割礼が終わると成人、“戦士の世代”になるんです。だいたい、18歳から20代前半くらいみたいですけど、特に決まりはなくて。

 だから私たちが「齢いくつ?」って聞くような感じで、マサイでは「何世代?」ってお互いに聞くみたいです。

――ジェームスさんにとって年の差はあんまり関係がないというか。

鶴本 「年齢はただの数字だから関係ない」って言ってます。彼と出会った時、私は23歳だったんですけど、ジェームスに「何歳?」って聞いたら「22」って答えてて。その時は適当に言ってたんでしょうね(笑)。