産業用ドローンの開発、販売を手掛ける東証グロース上場企業「ACSL」。同社の代表取締役CEOを務めていた鷲谷聡之氏(37)が今年4月30日付で、突如辞任した。

ACSLの鷲谷聡之前CEO ©時事通信社

離婚により資金が必要に

 その後、ACSLは鷲谷氏について、不正取引の疑いがあるとして特別調査委員会を設置、7月14日にその報告書を公表した。わずか2週間という異例の短期間でまとめられた調査報告書には、鷲谷氏が昨年6月の離婚により財産分与や慰謝料などで1億円を優に超える資金が必要となり、昨夏以降、複数の関係先から借金を重ねた実態が記されていた。その果てに、個人の借金を返す目的で、架空の取引を偽装。外部の3社に対して会社の資金から約1億5000万円を不正に流出させたと結論付けられていた。

ACSLが公表した「調査報告書受領に関するお知らせ」

 鷲谷氏は早稲田大学大学院を修了後、外資系コンサル会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2016年にACSLに入社して同年、取締役CFOに就任。2023年3月にCEOに就任した人物だ。

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「引き返すべきだったと後悔しています」

 ピカピカの経歴を持つエリート経営者は、一体、なぜ転落したのか。この8月、鷲谷氏はジャーナリスト・西﨑伸彦氏の取材に応じ、こう語った。

「韓国のカジノにハマり込んでいるとか、薬物疑惑があるとか、根も葉もない噂まで流されてしまって……。今にして思えば、きちんと弁護士を入れて債務整理をすべきだった。途中からでも引き返すべきだったと後悔しています」

前CEOの不正流用が明らかとなったACSL(同社HPより)

 そしてACSLの内情を追っていくと、調査報告書だけでは分からない数々の“危うさ”が浮かび上がってきた――。その詳細は、現在配信中の週刊文春 電子版で読むことができる。

にしざきのぶひこ/1970年岡山県生まれ。「週刊ポスト」記者を経て、2006年から「週刊文春」記者。20年11月に独立、フリーとして取材、執筆を続ける。近著に『中森明菜 消えた歌姫』(文藝春秋)など。『バブル兄弟 “五輪を喰った兄”高橋治之と“長銀を潰した弟”高橋治則』(文藝春秋)で25年の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

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