──休憩や休日は法律で決まっていますか?
ヒナコ はい。休憩は労働時間が6時間を超えて8時間までは少なくとも45分とる必要があり、8時間を超えるときは少なくとも1時間となります。休日は、毎週少なくとも1回以上の休日を与える義務があります。
──有休は年間、何日までとれますか?
ヒナコ 有休=年次有給休暇とは、給与の支払いを受けながら休暇を取れる制度のこと。週5日以上働く正社員などは、半年後から少なくとも年間10日とれます。2年間有効で、その間、労働者は自由に有休をとる日を決めることができます(時季指定権)。ただし、事業の運営に支障がある場合に限り、会社から有休の取得日を変更することが認められます(時季変更権)。なお、年次有給休暇は、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障することを目的とするため、原則としてこれを買い取ることは認められません。
──産休と育休について教えてください。
ヒナコ まず産前産後休業(産休)ですが、会社は社員が妊娠した場合、産前6週、産後8週は休みをとらせないといけません。この間には、所得保障として健康保険制度から出産手当金が支給されます。育児休業(育休)は原則として子どもが1歳になるまでとれ、保育園に預けられないなどの事情があれば、最長2歳誕生日前日まで延長が可能です。産休、育休ともに、その間の社会保険料は申請により免除されます。
──労災について教えてください。
ヒナコ 労災(労働災害)とは、労働者が業務中に負傷したり、病気になったりすることです。労災保険は、このような労働災害に加え、通勤途上における災害(通勤災害)から労働者を守るための制度で、労働者に対して必要な保険給付を行います。医療機関の窓口を経由して労働基準監督署(労基署)に認められると、医療費が全額支給されるほか、労基署に申請することで休業中は賃金の8割(保険給付6割+特別支給金2割)が支給されます。
「年収の壁」の仕組み
──いま話題の「年収の壁」って何ですか?
ヒナコ 収入の額によって扶養者控除や社会保険の被扶養者要件に影響が生じるため、働き方をセーブせざるをえない人がいることです。たとえば、年収130万円未満だと配偶者の被扶養者となることができ、年金や健康保険の保険料支払いが免除されます(「年収130万の壁」)。なお、2025年10月より19歳以上23歳未満については収入基準が150万円未満に緩和されます。
また、パートやアルバイトなど短時間労働者でも、1) 年収が106万円(月給8万8000円)以上、2) 労働時間が月20時間以上、3) 2か月を超える雇用の見込み、4) 従業員数51人以上、5) 学生でない、という要件が満たされれば、社会保険の被保険者となります(「年収106万の壁」)。ただし、制度改革により、1) 賃金要件や、2) 企業規模要件は段階的に撤廃されることになりました。
──「失業給付」は退職したら、すぐにもらえますか?
ヒナコ 退職すると、会社から離職票が渡されます。その退職事由によって給付開始の時期が変わり、解雇ならすぐに(7日の待機期間はあります)、自己都合の場合は1か月後となります(2025年4月より)。ただし、失業給付がもらえるのはハローワークに通って求職し失業の認定を受けている者だけで、自営業の人はもらえませんから要注意!
──休職中の場合、社会保険料はどうなりますか?
ヒナコ 健康保険や年金保険、介護保険などの社会保険料は通常、会社と社員が折半して支払っています。休職中は原則として給料は支給されませんが、保険料は納める必要があります。その場合、会社が社員の分を一旦立て替え、後で社員から会社に支払ってもらうのが一般的。復職時にまとめてでは社員の負担が大きいので、毎月指定日までに振り込んでもらうことにすることが多いようです。
──「年末調整」とは何ですか?
ヒナコ 所得税は、1年間の給与支給総額が確定する年末に、その年に納めなければならない年税額が決まります。年末調整は、年税額を正確に計算し、実際に毎月源泉徴収し納付してきた所得税との差額を求めることをいいます。年末調整を実施するにあたっては、配偶者控除、扶養控除、生命保険料・地震保険料などの保険料控除、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)などに関する書類が必要となります。
(監修・HRプラス社会保険労務士法人)




