「演出家で役者」ということ
成田 脚本を書かれて、演出もされて、役者で出られて、しかも製作や興行全体の総指揮的なこともやられているわけですよね。無責任な客として眺めていると、なんでこんな大変なことされているのかな、と(笑)。
野田 最近は年を取ったから、みんなにちょっと同情的にそう言われるんです(笑)。昔はもう少し喜びを与えられていたんですけど。
でも、演劇以外はやってないですから、そんなでもないです。ただ演出をしながら役者として出ていることに関しては、共演者からすると大変だとは思います。演出家として見ているのか、相手役として見ているのか分からないのはとても嫌な感じだと思うんです。
成田 別階層の何かが混入しちゃってる感はありますよね。お客さんの視線も変わりますもんね。
野田 どうですかね。
成田 他の役者とはちょっと違うものを見ている空気はそれとなく感じますけどね。野田さんの姿形や芝居がちょっと異質なのかもしれないですけど。
野田 それは別に演出をやってることとは関係なくて、実際に違うものなんだと思いますよ。
(構成 伊藤秀倫)
※本記事の全文(約1万2000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(「芝居って測りにくい。それでも野田さんが『うまくいった』と感じるのはどういうとき? 第6回 ノーカット21000字完全版 前編」)。
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