「演出家で役者」ということ

 成田 脚本を書かれて、演出もされて、役者で出られて、しかも製作や興行全体の総指揮的なこともやられているわけですよね。無責任な客として眺めていると、なんでこんな大変なことされているのかな、と(笑)。

 野田 最近は年を取ったから、みんなにちょっと同情的にそう言われるんです(笑)。昔はもう少し喜びを与えられていたんですけど。

野田秀樹氏 ©文藝春秋

 でも、演劇以外はやってないですから、そんなでもないです。ただ演出をしながら役者として出ていることに関しては、共演者からすると大変だとは思います。演出家として見ているのか、相手役として見ているのか分からないのはとても嫌な感じだと思うんです。

ADVERTISEMENT

 成田 別階層の何かが混入しちゃってる感はありますよね。お客さんの視線も変わりますもんね。

成田悠輔氏©文藝春秋

 野田 どうですかね。

 成田 他の役者とはちょっと違うものを見ている空気はそれとなく感じますけどね。野田さんの姿形や芝居がちょっと異質なのかもしれないですけど。

 野田 それは別に演出をやってることとは関係なくて、実際に違うものなんだと思いますよ。

(構成 伊藤秀倫)

次のページ 写真ページはこちら