大竹しのぶ「ギザギザな才能の男が好き」

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さんま、野田秀樹……愛し愛された記憶が私を支えてくれる

 恋愛に求めるものは人それぞれだと思いますが、私の場合は、年齢とともに恋愛に対する考え方が変わってきたように感じています。

 一人芝居『ヴィクトリア』(6月24日〜30日)は、映画界の巨匠・イングマール・ベルイマンが遺した独白劇で、演出家の藤田俊太郎さんとタッグを組みます。ヴィクトリアが不倫に走る夫を問い詰める場面があるのですが、知らない方が幸せなこともあると今なら分かる。でも、20代の頃は「愛する2人の間には、嘘も秘密もあってはならない」と思いこんでいたんです。

一人芝居『ヴィクトリア』での大竹しのぶ(操上和美撮影)

 だから、25歳でTBSドラマディレクターの服部晴治さんと最初の結婚をした時は、彼のすべてが気になって仕方なかったですね。彼が仕事で他の女優さんと食事に行った時には、「ねえねえ、どういう席順で座ったの?」と図まで描いてもらって。「ここが僕で、隣が(浅田)美代子で……」と彼が説明すると「“美代子”なんて呼ばないで!」なんてヤキモチ焼いて。晴治さんは17も年上で3度目の結婚だったから、「ハイハイ」と笑って終わりだったけれど、本当に若かったですね。可愛かったな(笑)。

 晴治さんとの間には長男の二千翔を授かりましたが、結婚生活はわずか5年で終わりを告げました。1987年、彼が胃がんでこの世を去ったのです。孤独と不安に襲われる日々の中で、心の穴を埋めてくれたのが、ドラマ『男女7人夏物語』で共演した明石家さんまさんでした。

 さんまさんとの結婚生活では、長女のいまる(タレントのIMALU)が生まれ、新しい家族の形が始まった一方で、「夫婦はすべてをさらけ出さないといけない」という価値観に違和感を抱くようになっていました。というのも、さんまさんから毎日のように「何時に帰ってくる?」「どこにいる?」と聞かれることを苦痛に感じる自分に気づいたから。かつて自分が晴治さんにやっていたことなのに、いざ同じことをされると、息苦しくなるんです。さんまさんは私が家庭に入ることを望んでいました。強要されたわけでもないのに、私はそれに応えなければならない気がして、1年半休業し、主婦業に専念しました。

 でも、ある日、全身の細胞が塞がっているような感覚に陥った。自分が自分でいられなくなるような気がしたんです。仕事に復帰してからは自分の世界を取り戻した一方で、さんまさんとの感性のズレは埋めがたくなっていき、4年に及ぶ結婚生活にピリオドを打ちました。

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source : 文藝春秋 2023年7月号

genre : ライフ 芸能 ライフスタイル