「売名行為」と言われてもやる。それが僕の生き方だから──。「遠山の金さん」や「文五捕物絵図」など、1400本以上の時代劇で主演を務めてきた、歌手で俳優の杉良太郎(79)が初めて語った知られざる交友録(聞き手・構成 音部美穂・ライター)
「分かっているなら、なぜやらない?」
シンと静まり返った部屋に、怒りのこもった低い声が響く。
昨年の11月1日、福島県福島市の福島刑務所には、官服に身を包んだ杉良太郎(79)の姿があった。法務省の特別矯正監としての視察と指導のためだ。矯正監とは刑務官の階級のうち最上位にあたる。これまでも幾度となく、杉は全国の刑務所に足を運んできた。
今回、福島刑務所を視察したのには理由がある。あまり知られていないが、じつは2022年3月、ここで60代の男性受刑者が他の受刑者から集団で暴行を受け、死亡する事件が発生。地元誌「政経東北」によると、死亡した男性は脳梗塞の影響で失禁を繰り返していたが、同室の受刑者がこれに苛立ち、日常的に殴る蹴るの暴行に及んでいた。被害者は複数回にわたり転室を願い出たにもかかわらず、刑務官が放置したとも報じられ、事件に至るまでの対応も問題視されている。
福島刑務所は2000年代に受刑者の過剰収容が問題となった際、多数の職員を雇用したが、法務省はそれ故に刑務官への教育が不十分だったのではないかと考えた。杉が自ら足を運んだのは人材育成と指導のためだった。
「受刑者をきちんと見ていれば察知できるはずだろう。どれだけ仕事をおろそかにしていたのか……。見て見ぬふりしたことが、後で必ず問題になる。こういうことを言うと、みんな口では『分かっている』というが、分かっているならなぜやらない? 分かっているなら、ちゃんとやりなさい」
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source : 文藝春秋 2024年3月号