74歳と68歳で3人の子を育てています
「今まで生きてきた中で、一番幸せです」。1992年のバルセロナ五輪、競泳女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得し、岩崎恭子さんはこう語った。父・勝稔(かつとし)さんがスタンドから見守る中、14歳という競泳史上最年少での偉業達成だった。
あれから25年、いま勝稔さん(74)は妻の真知子さん(68)と共に、地元沼津市で3人の子どもを育てている。上から順に、小学5年生のアキラ君(10)、幼稚園年中のヒトミちゃん(4)、そして1歳1カ月のアヤカちゃん。勝稔さん夫婦には長女・敬子さん、次女・恭子さん、三女・佐知子さんと3人の娘がいるが、孫ではない。実は3人とも、勝稔さん夫婦が里親として育てている「里子」なのだ(里子3人は仮名)。
ではなぜ岩崎さん夫婦は、3人もの子の里親となったのか。その理由と日本の里親制度の現状と課題を、勝稔さんが語る。
私は今年で後期高齢者の仲間入りをしますし、こう言うと怒られそうですが女房の真知子も立派な前期高齢者。いま私たちは、訳あって親に育ててもらえない子どもたちを3人預かって育てています。
みんな生まれてすぐにうちにやってきました。だから3人にとっては、岩崎のじいじとばぁばが親代わり。改めて聞かれると「そういえば里子だな」と思いますが、日頃はそんなことはすっかり忘れて、忙しく過ごしています。
よく「年寄りの朝は早い」と言いますが、私たち夫婦も例外ではありません。ただ、起きて朝ごはんを食べた後が普通のお年寄りとは少し違います。女房が掃除・洗濯をしている間、私は一番下のアヤカを車で保育園へ送りに行くのです。小学生のアキラは歩いて学校へ、ヒトミはバスで幼稚園に行きます。その後は家の仕事をしたり、ボランティアなど地域の活動に出かけたりします。
午後になるとまずヒトミが幼稚園からバスで帰ってきます。つくづく便利になったと思うのは、バスが近くの停留所に着くとスマホに「到着5分前」とメールが来ること。するとその後すぐに「ただいま」の声が響きます。しばらくしてアキラが帰ってきて、4時半前には車で保育園にアヤカを迎えに行かなくてはいけません。
3人の子どもとお風呂
帰宅後は、ひとしきりリビングで遊びます。「じいじも一緒にやろうよ!」と誘われてテレビゲームをしたり、トランポリンをしたり。年中のヒトミはもうタブレットPCを自分で操ってYouTubeを見ているのだから、いまの子どもの成長には恐れ入ります。
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source : 文藝春秋 2017年06月号