アニメ映画 アニメーターである僕の原点

本田 雄 アニメーター
エンタメ 映画

《スペシャル特集》10人が太鼓判。ジャンル別ガイド

 まず前提として、宮﨑駿監督作品・ジブリ作品は除くものとさせてください。

 1968年生まれの僕は、『未来少年コナン』をはじめとする70〜80年代のアニメ作品に大きく影響を受けていると思います。今観返したときにイマイチな印象を持ったとしても、あの頃の感覚が蘇り、ノスタルジーに浸れるという良さもある。アニメーターである僕の原点ともいえる作品ばかりなんです。

本田雄氏 Ⓒ文藝春秋

 初めて映画館で観たアニメ映画は『ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)』(1978年)。小学校高学年のときに兄貴と一緒に足を運びました。

 絞首刑のシーンで始まり、大仏のアップに重ねてタイプ音と共に検死報告が映し出される。ドラキュラ城のシーンを経て、OP(オープニング)が始まる。通常OPは登場人物紹介なのですが、それが一切なく、クローン人間(マモー)の作成過程だけを延々と見せていく。その斬新な見せ方に一気に引き込まれました。ルパンの雰囲気もテレビシリーズと異なり、コミカルさも残しつつ怪しげな感じがカッコイイ! 次元と五ェ門が「ちと、その帽子を刻んでみたかった」「ハゲでも隠してるのかと気になってな」と掛け合いをするのですが、一触即発ながら行動を共にする2人の様子も面白かったですね。敵のマモーも世界の富の3分の1を持ち、クローン技術の開発者で、1万年も生きている怪物で……(あまり書くとネタバレかも)ストーリーを盛り上げてくれる魅力に満ちた悪役です。

 カーチェイスが『激突!』のオマージュだったり、『2001年宇宙の旅』へのオマージュも。ラスト付近のルパンとマモーの対決は『ヘルハウス』だったり(多分)。他にもルパン「俺ぁ夢盗まれたからな。取り返しにいかなぁ」、次元「夢……ってのは女のことか?」という件(くだり)も好きですね。不二子のことなのか、自分自身のことなのか多くを語らず色んな意味に捉えられて、とにかく深い!

エネルギーをめぐる悲惨な戦争

 好きな映画に共通しているのは、複雑な人間ドラマが描かれていること。それがあるかないかで映画の格が変わると思うんです。

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source : 文藝春秋 2024年12月号

genre : エンタメ 映画