“予算は数十倍” 外資系動画配信サービスの全貌と「国産エンタメ」が生き残る道
私は今年の3月までアマゾンジャパンに2年半在籍し、日本における映像コンテンツの製作責任者という立場にありました。アマゾンプライムで配信するオリジナル作品のクリエイティブを統括していたのです。
例えば、かわぐちかいじさんの原作漫画を実写化したドラマ『沈黙の艦隊』や、参加者たちの恋愛模様を追うリアリティショー『バチェラー・ジャパン』、かつての人気バラエティをTBSとともに復活させた『風雲!たけし城』などがあります。
4月に独立し、自らの会社を立ち上げ、アマゾンプライムなどで配信する作品の制作を幅広く手掛けるようになりました。現在は、北野武監督の最新作『Broken Rage』の制作が終わったばかりです。
本作は第81回ベネチア国際映画祭の特別招待作品に選出され、9月6日、現地で世界初上映されました。上映後はスタンディング・オベーションが止まりませんでした。アマゾンプライムビデオで2025年に世界配信される予定ですが、きっと多くの人に面白く観て頂けるだろうと確信し、ホッと胸を撫で下ろしたところです。
インターネットを通じて動画コンテンツを配信するネットフリックスやアマゾンプライムは、それぞれ全世界で2億人を超える契約者数を誇る。2社に続いて2019年に動画配信サービスを開始した「ディズニープラス」が契約者数1.5億人と先行組を猛追中だ(日本でのサービス開始は2020年6月)。この3社がいわば「動画配信メジャー」であり、その規模をさらに拡大させている。
配信業界の真っただ中にいる早川敬之氏が“配信戦国時代”における“日本の勝ち筋”を語る。
配信普及率は30%を突破
もともとはテレビマンでした。NHKとフジテレビの局員として、計二十数年働き、バラエティからドキュメンタリーまで様々な番組制作に携わってきました。その私がテレビ業界を飛び出し、配信業界から世界に打って出ようと思ったのは、日本の映像作品が確実に世界に通用するという手応えを感じているからです。テレビ局で働き始めたのは、1994年。日本経済はバブル崩壊直後でしたが、テレビ業界はまだまだ華やかでした。当時、NHKの朝ドラの視聴率は25〜30%ほど、98年大晦日の「紅白歌合戦」の視聴率は57%を超えていました。人気番組であれば数千万人が見ていた時代です。学校や職場での共通の話題はテレビ番組であり、テレビは流行発信の中心だったと思います。
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