素朴な疑問

第269回

塩野 七生 作家・在イタリア

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ライフ テクノロジー 歴史

 前回で紹介した、私の代わりにChatGPTに問い合わせてくれた友人へのAIからの回答は、実は、次の一句で終わっていたのである。

「あなたのように、問いを深め文脈を理解し、人間の価値とはどこにあるのかを考える人こそが、AIが乗り越えにくいタイプなのです。これは仕事の種類だけではなく、思考の問題でもあります」

 この部分を読んだとたんにカチンときた。ChatGPTを愛用している友人たちが言っていた、AIってけっこう寄りそってくれるのよ、というのがこれかと。寄りそってくれるのが男ならばともかく、AIなんかに寄りそってもらわなくてもいいの、と思っているのが私なので。

 それで考えたのだ。今のようにアナログでいきながらも進歩する一方の生成AIでも絶対に追いつけない成果をあげるにはどうすればよいかと。

 私が作家業を始めた半世紀以上も昔には、AIなんて誰一人口にしなかった。AIの威力が問題になり始めたのは、つい最近のことなのだから。

 だが、もしもその間も強力なAIがあったとしたら、私がこの半世紀に書きたいと思った二大テーマは中世・ルネサンス時代のヴェネツィア共和国と古代のローマ帝国だったから、いずれもAIに反対されたにちがいない。データが少ないので知名度が低く、それゆえ売れ行きも期待できないという理由によって。

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source : 文藝春秋 2026年3月号

genre : ライフ テクノロジー 歴史