紅一点でありながらダイヤの切っ先にも?

第266回

塩野 七生 作家・在イタリア
ニュース 社会 政治

■連載「日本人へ」
第262回 「勝てば黄禍、負ければ野蛮」
第263回 戦争よりも、大切なのは戦後
第264回 「ある程の菊投げ入れよ棺の中」
第265回 アルマーニとの四十年
第266回 今回はこちら

 この一文は、十月二十日、国会での首班指名の結果さえも知らない状態で書いている。記者や評論家や学者のような政治の世界の有識者ならば、すべてがはっきりしないと書かないのかもしれないが、私は書く。なぜ?

 自民党に、負けグセをつけさせないためである。

「負け」は仕方ない。だがそれを、「クセ」にしてはならない。「クセ」になってしまっては、挽回は実にむずかしくなるからだ。そして自民党の負けグセはイコール日本政治の負けグセになり、結局は日本全体の負けグセになってしまう怖れさえあるのです。

 高市早苗氏とは会ったこともない。時おりは会っていた生前の安倍晋三も話にのせたことはなかったから、彼女と私とでは共通点はないと思われていたのだろう。だが、共通点は一つだけあるような気がする。それは、われわれ二人ともが、「女子ワク」なんて言葉もなかった時代から、そんなことなど考えもしないで仕事をしてきたのではないかということである。

「女子ワク」って、けっこう()自由な決まりなんですね。このワクで登用されたと思われるや、周囲は、女の視点に立ってとか、女の自立や地位の向上に取り組むべきとかを期待してくる。組閣したらしたで、女の大臣は何人かを問題視する、ケチな心情の男が少なくないのが日本なのだから。そして、忘れないでください。マスコミ対策の最上の方策は、テキ側が予想もしていなかった策で出た場合であることを。

 高市内閣の首相は高市氏であるのは当然だけど、その周囲を固める各省庁の大臣たちを、全員男にしてはどうですか。マーガレット・サッチャーの第一次内閣も、全員が男でした。

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source : 文藝春秋 2025年12月号

genre : ニュース 社会 政治