「文藝春秋」の編集者が明かす、電子版限定の“ここだけの話”
初めて内館牧子さんにお目にかかったのは、今からちょうど3年前、2023年3月のことでした。
当時の私は、編集部に配属されて半年が過ぎ、少しずつ仕事に慣れてきたような、まだどこかおぼつかないような、ようやくひとりで歩き始めたばかりのような頃でした。
そんな私が、当時の編集長から内館さんの新連載担当を任されたのは、私が編集部一の相撲好きだったからでしょう。
幼稚園の頃に横綱・武蔵丸に魅せられて以来相撲が好きな私にとって、内館さんは作家・脚本家というよりも、「朝青龍の天敵」。問題行動の多かった朝青龍を、横綱審議委員として舌鋒鋭く批判するお姿が強く印象に残っていたのです。だから正直、最初に事務所に伺った時は、「怖かった」というのが本音です。
もちろん、そんな不安は杞憂に過ぎませんでした。実際にお会いした内館さんはとても優しく、冗談を言ったり笑顔を絶やさなかったりと非常にチャーミングな方でした。

しかし、こと仕事となると実にサッパリしていらっしゃる。初めてゲラをお送りした時、私はできるだけ丁寧に送らなければと、「初校ゲラでございます」「お忙しいところ恐れ入りますが……」などと長々とメッセージを書き添えていたのですが、戻ってきたゲラには、私のメッセージの上に、所々ピッと線が引いてありました。過剰な敬語や気遣いは不要、必要事項だけ書いてあれば十分というお考えだったのです。そんな中で嬉しかったのは、緊張しながら書いた原稿への初めての感想には「面白いからこれ(感想)は毎回書いて」とメッセージが添えられていたことでした。
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