政権を去る「恐竜」、波紋を呼んだ中企庁長官、新・プリンスの実力、オールジャパンの真価

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★政権を去る「恐竜」

 安倍政権末期以降、4年にわたり内政課題を総合調整してきた藤井健志内閣官房副長官補(昭和60年、旧大蔵省入省)の退任が決まった。後任には、昨年9月に内閣官房入りした阪田渉デジタル行財政改革会議事務局長(63年、同)が規定路線通り充てられる。

 霞が関で、藤井氏の強面ぶりを知らぬ者はいない。かつて財務省内で広まった「恐竜番付」で“東の横綱”を張ったのは語り草で、部下からは「大佐」と呼ばれて畏怖されてきた。「詰めの甘さや、曖昧な説明を見逃さない。財務官僚はある程度、どこに“地雷”があるか分かるが、他省庁の人間は今も戦々恐々としている」(内閣官房幹部)。

 元々、入省同期で岸田文雄首相の義弟の可部哲生元国税庁長官、矢野康治前財務次官と共に「三羽烏」として将来を嘱望されてきた。だが、「部下を数人“潰した”ことを人事当局が最後まで問題視した」(財務省幹部)ことで、財務本省の局長は経験せず国税庁に転出。一方で、事務能力の高さや、目上の人間とは事を構えないスタイルから、国税庁長官から官房副長官補への登用ルートに乗った。

 岸田政権下での3年近くにわたる藤井氏の役割は、表からは見えにくいが政治家との折衝もあったようだ。岸田首相と同じく開成高校出身であることに加え、首相の腹心の木原誠二自民党幹事長代理(平成5年、同)は古巣の後輩に当たる。「少人数の場では、藤井氏が木原氏に『そんなんじゃダメだって』とざっくばらんな口ぶりになることもあった」との証言もある。

 後任の阪田氏は早くから「次官候補」の呼び声も高く、主計局総務課長、文書課長と省内枢要ポストを歩んだが、総括審議官をわずか4カ月足らず務めた後、財務総合政策研究所長に転じたことで次官ルートから大きく外れ、少なからぬ人が首を傾げた。

 当時の舞台裏を知る関係者は、阪田氏が遠ざけられたのは太田充元次官(昭和58年、同)の意向が働いたと明かす。太田氏が主計局長の時、「財政の憲法」とも言われる財政法運用の柔軟化に動こうとしたが、主計局次長だった阪田氏が難色を示したことで逆鱗に触れたという。

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source : 文藝春秋 2024年8月号

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