「もう山を下りなさい」地元民の忠告に、登山中の私が素直に従えた理由〈東京・奥多摩でレジェンド探検家の“教え”に救われた〉

vol.88

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 この頃、登山にハマっています。きっかけは、日本人探検家3人によるオンライン番組(「生還率100%の探検家サバイバル術」2024年10月5日配信)を担当したことでした。

 番組に出演していただいたのは、関野吉晴さん、高野秀行さん、角幡唯介さんというレジェンド3人です。アマゾンの奥地、ティグリス・ユーフラテス川の源流、グリーンランドの氷原……と、話題に出た探検先は三者三様ですが、「他の人が見たことのないものを確かめてやろう」というプリミティヴな好奇心がむき出しの話を聞いていて、私の“探検心”に火が点いたのです。

レジェンド探検家3人が集ったオンライン番組の様子 ©文藝春秋

 とはいえ、凡人の私に“ガチの探検”などできるわけがありません。日常から一歩踏み出す程度の探検として、選んだのが登山でした。いざ始めてみると、数百メートルの山なら楽々と踏破できることがわかりました。

 ならば、今度は1000m超の登山に挑戦——というわけで、11月に訪れたのがJR青梅線の終着点・奥多摩駅(東京都奥多摩町)です。

 最寄りの登山口からは鋸山(標高1109m)の山頂に登ることができて、そこから大岳山(標高1266m)まで連なる尾根は爽快な縦走路として知られています。登山した日は幸い絶好の行楽日和。地上1000mを超える地点から、雲を突き抜ける富士山の峰を望むことができました。

大岳山(1266m)の山頂からの風景。奥に見える一番高い山がおそらく富士山(筆者撮影)

 ところが、予定ルートを7割ほど歩き終えたところで、日差しが夕日の色彩を帯び始めます。時計を見ると15時過ぎ。「やばいかも」と思いながらも、「せっかくここまで来たんだから最終地点の馬頭刈山(まずかりやま)(標高884m)まで……」と走り出したとき、たまたま地元の方と出くわして、忠告を受けました。

「もう山を下りなさい。高明山(標高798m)より低い場所は午後4時を過ぎれば熊が出ます。今の時期はけっこう多いからね」

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