司馬遼󠄁太郎「ロシアについて」の慧眼

大型企画 100年の知に学ぶ

広野 真嗣 ノンフィクション作家
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外国への猜疑心。火器への異常信仰——。40年前に喝破していた、あの国の「かたち」

司馬遼太郎 ©文藝春秋

Ⅰ 司馬遼太郎がみたロシア

 砲撃で破壊された病院や学校。後ろ手に縛られ殺害されたウクライナ市民……。目をそむけたくなるような報道に接するたび、大きな疑問が頭をよぎる。

 なぜ、ロシアはこんなことをするのか?

 2022年2月にロシアがウクライナへ侵攻してから1年近くになろうとしている。ロシアの数々の蛮行を前に、同じように考える人は少なくないだろう。

 その答えを探している中で1冊の書籍に出会った。

 司馬遼太郎『ロシアについて 北方の原形』(文春文庫)である。この本は、1982(昭和57)年に本誌「文藝春秋」に連載された「雑談・隣りの土々(くにぐに)」がもとになっている。

本誌連載時の誌面 ©文藝春秋

 その一章「ロシアの特異性について」の一節に私は目を奪われた。

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source : 文藝春秋 2023年1月号

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