日本を震撼させた平成の凶悪事件。事件後に流れた歳月は犯人・遺族の心境にどのような変化をもたらすのか。ノンフィクションライター、小野一光が現場を歩く。今回は「平成15年 福岡一家4人殺人事件」篇の第2回(全4回。第1回から読む)。
〈本事件では、元専門学校生の魏巍、元私立大学留学生の楊寧、元日本語学校生の王亮の3人が実行犯であるとされ、本年(*2004年)1月30日には、魏巍が強盗殺人罪で福岡地方裁判所に起訴されました。また、楊寧と王亮の2名については、昨年9月24日、中国公安当局によって本事件の犯人として全面的に自供したと伝えられています。
ところで、報道によれば、貴本部及び福岡地方検察庁は、本事件の犯人は上記3名だけであると断定し、今後、捜査は終結へ向うと伝えられています。
しかし、本事件において上記3名だけが犯人であるという見方に対しては、以下のような重大な疑問点が多数、存在します〉
いくつもの疑問点
03年6月20日に福岡県福岡市東区で、衣料品販売業を営む松本真二郎さん(享年41)一家4人が、中国人留学生3人に自宅で殺害、死体を遺棄された事件は、犯行後に帰国した先の中国で逮捕された王亮(犯行時21、以下同)と楊寧(23)、さらに日本で逮捕された魏巍(23)の3人による「カネ目当て」の犯行だということで、捜査が終結した。
冒頭に取り上げたのは、魏を起訴して間もない04年2月3日に、松本真二郎さんのいとこである松本幸一さんが、福岡県警本部長宛に出した、自身を告発人として、被告発人を〈氏名不詳〉とした告発状である(*後に不受理との通知)。同告発状のなかで、犯人は中国人留学生3人だけとの結果に納得のいかない幸一さんは以下の疑問点を挙げる。
●松本真二郎の留守時に強盗に入ったのに、その帰宅をわざわざ待つのはおかしい
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