
■連載「古風堂々」
第77回 そして、ヘマはつづく
第78回 百助主義
第79回 落ちる人、落ちない人
第80回 紫外線いまむかし
第81回 藤井君と引き分け
第82回 今回はこちら
国内の在留外国人は近年激増し、今や約四百万人に達し、なお増加の一途である。十年後には一千万人に迫る勢いだ。長年、医者や弁護士など高度専門職を中心に受け入れてきたが、少子化による働き手不足を補うため、三十年ほど前から「技能実習生」という名目で一般労働者を入れ始めた。その後も安価な労働力を求める経済界の要望を受け在留資格の要件を次々に緩めたから、外国人労働者が激増した。特に看護師や介護士の不足が問題となっているが、彼らの平均年収を五割増しの七百万〜八百万円に上げたら、目指す人がいくらもいるだろう。平均年収が二百十万円という低さで苦しむ非正規労働者が二千万人もいるのだ。財源としては、二十年余りも減らしてきた法人税を増額したり、六百四十兆円という膨大な大企業の内部留保に税をかけ、病院や老人ホームを財政支援すればよい。それには諸悪の根源、企業の政治献金禁止が必須だ。外国人流入による治安や環境の悪化も顕在化した。この状況を受け、マスコミなどは、「移民は経済や生活水準の維持に必要だから、『共生社会』を目指すべき」と唱える。一方、日本の文化や環境や治安を守るため、経済水準は多少下がるとも移民を制限すべきという人々も多い。共生派は制限派を「差別主義」と非難し、制限派は共生派を「人権思想に酔っている」と非難する。
同様の非難合戦が長く続いた移民先進国ヨーロッパはどうなったか。七年前、私はドイツを訪れた。移民難民の入口だったミュンヘン駅を降りると、中東からと思われるジーンズの若い男女が意識不明で路上に転がっていた。通りがかりの男が「麻薬だな」と吐き捨てるようにつぶやいた。心配になり立止まって見ていたら、粗末な格好の中年女が私をにらみ、聞いたことのない言語で毒づいた。以前の静謐なミュンヘンは一変していた。
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