市場の貸本屋から始まった「本に囲まれた生活」

第6回

大﨑 洋 前吉本興業会長

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各界で活躍する“達人”たちが、人生を変えた「座右の書」を紹介する連載。達人たちはどのような本を読み、どのような影響を受けてきたのか、その半生とともに振り返る――。第6回は、島田紳助や明石家さんまのマネージャーを務め、NSC(吉本総合芸能学院)を立ち上げ、1期生のダウンタウンを育てた、吉本興業前会長の大﨑洋さんが登場。

(取材・構成 稲泉連)

大﨑洋氏 ©文藝春秋

大﨑洋(おおさき・ひろし)

1953年生まれ。大阪府堺市出身。吉本興業前会長。大阪・関西万博催事検討会議共同座長。一般社団法人 mother ha.ha 代表理事。関西大学社会学部を卒業して、1978年に吉本興業入社。NSC(吉本総合芸能学院)を立ち上げ、1期生のダウンタウンを育てた初代マネージャー。島田紳助や明石家さんま、ハイヒールなど、大﨑が手掛けたタレントは多い。2007年に副社長、2009年に社長、2019年に会長に就任。2023年7月取締役を退任。2023年6月一般社団法人 mother ha.haを設立。著書に『居場所。』(サンマーク出版)『吉本興業の約束――エンタメの未来戦略』(坪田信貴との共著、文春新書)。

貸本屋の留守番で読み放題

 僕は子供の頃、大阪の堺市という町に住んでおったんです。「本」についての最初の思い出と言えば、そうやな、子供の足やと3分くらいやったかな、家から坂をずっと下ったところに市場があって、よく行く駄菓子屋さんを過ぎたところに、貸本屋さんが店を構えていたことやね。

 というのも、小学校の2、3年生の頃から、毎日のように僕はその店に通っとったんですよ。店にはいろんな雑誌や貸本専門の出版社の本がぎっしり並んどって、雑誌の付録なんかもまとめて店先で売られていました。

 時代としては、ちょうど『少年ブック』『冒険王』『少年画報』『週刊少年サンデー』『週刊少年マガジン』といった少年誌が、どんどん創刊された時期やった。今では考えられへんけれど、『マガジン』を出版社の人が学校に配りに来たのを覚えています。一人ひとりの子供たちに雑誌を配りよってね。あれは講談社の営業の人かなんかやったんかな。それだけ漫画誌が熱を帯びていた黎明期だった。

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