名古屋主婦殺害 安福久美子の名が閃いた刑事との問答

小野 一光 ノンフィクションライター

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26年後に突然、解決したのはなぜか

 愛知県名古屋市西区の住宅街にある3階建てのコーポ。1階に設置された郵便受けと、2階の部屋の扉には、26年前から変わらない表札が掲げられていた。

〈高羽悟 奈美子 航平 鈴木トシ子〉

事件当時のままの玄関の表札(筆者撮影)

 高羽悟さん(69)の妻である奈美子さん(当時32)は、1999年11月13日に、このコーポの201号室内において、刃物で首などを切られて殺害された。なお、鈴木トシ子さんは奈美子さんの母親である。

事件当時のままの郵便受けの表札(筆者撮影)

 この部屋の玄関口には、犯行時に傷を負ったとみられる犯人の血痕が残されていた。その血痕の上には靴跡があり、後の目撃証言などと併せ、犯人は当時、40歳から50歳の女で、血液型はB型。身長約160センチメートルで、靴のサイズは24センチメートル。左右どちらかの手に怪我をしているとされた。

犯行現場(筆者撮影)

 悟さんは犯行時の痕跡が残るこの部屋を、現場保存のため、26年にわたって借り続け、計約2200万円もの家賃を支払って維持している。さらに、命日などには情報提供を求めるビラを配ったりして、事件の解決を願ってきた。

 そんな、いつ終わるとも知れぬ、結果の見えない日々に、ある日突然、終止符が打たれることになる。

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source : 文藝春秋 2026年1月号

genre : ニュース 社会