死刑確定した“夫”と獄中結婚した理由
死刑確定後の孤独
これまで数多くの殺人犯との面会を繰り返してきた。
そのなかには、やがて死刑が確定したことで、面会や手紙のやり取りが叶わなくなった相手も少なくない。死刑囚の「心情の安定」との理由で、死刑確定後は弁護士や親族以外の、面会や文通といった接見交通権が制限されてしまうからだ。
つまり親族との関係が断絶した死刑囚は、ほとんど面会や手紙のやり取りができないことを意味する。
私が会ったなかでは、2017年に神奈川県座間市で9人を殺害した白石隆浩死刑囚(面会時は被告)が、刑の確定後の生活について、意識的な発言を繰り返していた。
逮捕後に殺到するメディアに対し、彼は取材の条件として謝礼の支払いを求めていたが、それは死刑確定後に自由に使える現金を確保しておくためだった。
両親や妹といった親族との関係が断絶していた彼は、死刑確定後の孤独な収容生活に備えて、菓子類や生活用品などを購入する費用を、自分で稼ぎ出そうと考えていたのだ。
ちなみに禁錮や懲役囚とは異なり、死刑囚の身柄は、刑の確定後も刑務所ではなく拘置所に置かれる。拘置所内において、死刑執行まで未決拘禁者と同じく、必要な物品を購入することができるのである。
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source : 文藝春秋 2021年12月号