日本を震撼させた平成の凶悪事件。事件後に流れた歳月は犯人・遺族の心境にどのような変化をもたらすのか。ノンフィクションライター、小野一光氏が現場を歩く。今回は「平成6年~12年 中洲スナックママ連続保険金殺人事件篇」の第1回。
■連載「平成凶悪事件と『その後』」
【平成17年】 大阪姉妹連続殺人事件篇
【平成15年】福岡一家4人殺人事件篇
【平成18年】秋田児童連続殺人事件篇
【平成16~17年】福岡3女性連続強盗殺人事件篇
【平成6~12年】中洲スナックママ連続保険金殺人事件篇
#1 「なにしろ美人で華やかだった」夫2人を金目当てで殺害した女は〈白雪姫〉と呼ばれていた この記事
#2 「保険金で新しくマンションを買いたい」女が夫を浴槽に沈めた後にとった“意外な行動”(2/1公開)
#3 元捜査一課長が“事件の端緒”を実名証言「所轄から上がってきた検視の報告書を見ていて、あれ?と」(2/8公開)
#4 担当刑事が明かした秘匿捜査の中身「バレたら終わりですから。署内の道場に泊まり込んで…」《実名告白》(2/15公開)
“黒い美貌”と“カネ遣い”
いまでも20年前に見たその写真のことは、はっきりと記憶している。
自転車の前かごに白い上着とブランドバッグを入れた、灰色のノースリーブを着てベルボトムジーンズを穿いた色白の女性が、交差点で信号待ちをしている姿。40代後半の彼女の胸元には銀色のネックレスが光り、肩までの長さの髪は栗色。唇には赤い紅をさしており、実年齢よりも若く溌溂として見える。
数日後に逮捕される女が、そうとも知らずに、日課である行きつけのパチンコ店へと向かう光景だった。
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