日本を震撼させた平成の凶悪事件。事件後に流れた歳月は犯人・遺族の心境にどのような変化をもたらすのか。ノンフィクションライター、小野一光が現場を歩く。今回は「平成17年 大阪姉妹連続殺人事件」編 の第1回。
まぶしい新緑の生い茂る丘の中腹に、その霊園はあった。大阪府下の某所。訪ねたのは今年4月6日のことだ。
永代供養墓の一画にある四角い大理石の墓標には、「上原家」の文字と、そこに眠る3人の名前が刻まれたプレートが貼られている。
父の上原和男さん(享年67)と、娘である明日香さん(同27)と千妃路さん(同19)の姉妹だ。最近も誰かがお参りに訪れたのだろう。真新しいカーネーションが添えられている。
各々の生没年月日が記されており、姉妹については没年月日が同じ日付だ。
平成17年(2005年)11月17日。
酸鼻を極める事件
いまから約18年前、大阪市内の自宅マンションで事件に巻き込まれ、ふたりの無辜の命は奪われた。
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